150試合目 運動部

 あれから一年後。

「で??? なんでこうなった」

「いやいや、さすがに一年やったのにもう一年フルでやるなんてきついこと誰がやるのよ」

「いや……、そういう訳ではなくてな?? 

 なんで俺たち全員揃ってるんだよ」

 俺たちは大学生になった。が、なぜかおれ、すず、凛、さくら、春馬、紫は全員同じ学校になった。

「いやこんなことあるのかよ。みんな受かるなんて!!」

「まあおれも頑張ったしね!!」

頑張ったとかじゃないんだよなあ……

「それより最近モブだった私に何か一言ないの?? 主人公の彼女なんだけど」

 非常に痛いところをついてくる。

「仕方ないだろ? おれメインの話続いたんだから」

「確かにカップルの関係というのは素晴らしいものよね」

 さくらはわざと周りに当てつけるようにいう。おいおいそんなことをいうと……。

「はいはいリア充爆発しろ。リア充じゃないのは徹のせいだけどね!!」

 耳が痛すぎて死にそう。

「申し訳ない」

「っぷ!! 冗談よ。私はそんなこと思ってないし、紫君が隙を見せたら奪い取るつもりだから」

「ふふふ……。いやいやそんな隙はないよ。昨日もあんなにいちゃいちゃしたもんね?? とーーおーーる♡」

 周りを逆撫でるような言い方をわざとする紫の顔は余裕で溢れていた。

 これはさすが元日本一。戦いにおいては冷静さを失わない。

「でも徹あんたのこと色々言ってたわよ」

「え!??? ととととと徹くん!??? ななななななにかした?? 怒ってる?? ごめん!! だから捨てないでぇぇ!!!!」

 やはり思い違いだった。

「いや何も言ってないよ。安心して」

「ほんと??」

「本当」

「よ、よかったぁあ!!」

 緊張して上がった肩をゆっくりと落としながら、ふうっと息をついた。

「紫は結構心配がり屋なんだ。やめてやってくれ、鈴」

「ごめんね? でも紫の表情が可愛くって……」

「わかる」

「黙れ」

なぜだろう?? おれが共感した瞬間何故かおれが突き落とされた。

「えへへ、可愛いなんて」

 他の女の子がやったらぶりっ子なんて言われることを紫がやっても何も違和感がない。

 それだけの可愛さがあるということだ。

「まあ可愛いけど、もう少しおれを信じてくれ。大丈夫だから」

「うん!!!」

 返事まで可愛いとか化け物かこいつ。

 さすがだ……。怒らせたら誰よりも怖いけど。

「それよりサークルとかどうするの?? みんな」

 少し垢抜けた春馬がそういう。

「私は春馬と一緒ならどこまでも!!」

「僕は徹君次第かな」

「私は生徒会から解放されたからみんなと一緒のところに行きたいわ」

「私も徹次第かなあ」

「俺は“運動部”かな」

「運動部???」

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