146試合目 師匠

「はあ!?? なんで俺なんだよ……。普通運動神経だったら春馬の方がいいだろ。まあ師匠向いてないと思うけどさ……」

 俺は少し困惑をしていた。なぜ彼女は俺の弟子になりたがるのかわからなかったからだ。

「それはもちろん、徹先輩が現最強だからです!!」

 彩花は両手を握り、徹の前まで持っていて顔をキリッとさせる。

「何言ってんだ。だからそれは春馬の方が……」

「いえいえ。徹先輩も実はすごいです」

「どこがだよ……。俺はふつ……」

「だって春馬さんに余裕でついていけているではないですか!!」

 何を言っているのかと俺はじっと瞼を少しおろして力を抜き彩花の方を見る。

「余裕ではないし、ぎりぎりでいつもついていってる。それに普通こういう時主人公に弟子入りするだろ」

 俺は何も間違ったことは言っていない。メタいとかそんなこと言うなよ。読者。

「主人公……?? よくわかりませんがとりあえず春馬さんにいろいろ教えている徹先輩の方が強いと思います。ですよね!!」

「え?? あ~~~。そうだと思う」

 急に話を振られた春馬は適当な返事をした。

「ほら。どうかお願いします!! 師匠!!」

「断る!!」

「なんでですか!!??」

「いや、普通に考えて後輩の女の子を弟子にするとか変だろ!!」

「どこがですか!!」

「全部だよ」

 ぐいぐい迫ってくる彩花は徹にとうとう抱きつき始めた。

「やめろ!! っていうか紫の方が彩花はよかったんじゃねえのかよ!??」

 俺は一生懸命彩花を自分の身から離そうとするが力が強すぎて離れない。

「いや尊敬はしていますが、別の学校なので毎日会えないじゃないですか!!」

「なんだそのメンヘラ思考は!!!」 

 最近のJKってこうなのか!?? だから柚希もあんなのなのか!??

「あ!! じゃあわかりました!!」

「なんだよ……??」

 急に離れたと思ったら、今度はまた新しい提案を思いついたようだ……が、絶対にいいことではない。

「弟子は諦めます」

「そうしてくれ」

「代わりに……私とつきあってください!!」

「は??」

 その発言に春馬以外の全員が声をそろえて驚いた。

「兄さんが……兄さんが……ロリコンに……!!!」

「なってねえし、なんでだよ!!??」

「徹君は……僕の……ものなのに……」

「うん、違うよ?? どうしたの?? 最近ねじ外れた??」

 みんながなぜか俺を責める。意味が分からない。春馬はなぜか笑ってるし……。本当におかしい。

「なんでその思考に至ったんだよ」

「彼女ならそばに居放題と思いまして!!」

 え?? 俺ってそんなサブスクみたいな扱いなの??


 どうなるおれ……。


 

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