14試合目 決断時かもしれない

 次はボウリングだ。

 さっきのことがあったからかなんだか気まずい……。

「な、なあ柚希……?」

「兄さんの人でなし」

 怖すぎじゃありませんかね。

 柚希は俺に蔑むような眼でそういった。ある種の人間には受けそうだ。

「紫さん???」

「徹君……ひどいよ」

 すごいや。俺が加害者だ。もうどうしようもねえな。

 

 とりあえず俺たちは1ゲーム目でまずは体を慣らした。

 なぜこうするのかというと、自分のフォームを見つけたり、思い出したりするためだ。

「どうだ?? みんなは慣れたか???」

「おーー!!」 

 返事をするのは二人だけ。怖いわ。もう逃げたい。

「わかった。わかったよ……。もし俺のスコアより上だったらその人の言うことなんでも一つ聞いてあげるよ」

 これはサービスだ。おとなの対応ってだいじだよね。

「「ほんと!??」」 

 これにはさすがに食いつかないかと思ったが、そんなに食いつきがいいとは。

 俺って結構餌の素質あるのかもしれないな。

「もちろん。これは約束だ」

 しかし俺はボウリングで負けることはない。なぜならこれに関しては俺は得意だからだ。

「な、なぜだ……!!! 悪魔たちが……!!」

 結果は最下位。 150と悪くない。むしろいい方だったのに、全員が200超えをしたせいで、俺が最下位になってしまった。さすがすぎる。俺の餌力。

「兄さん……??」

「ハイ!!!」

 ヌルっと出てきた柚希に俺は背筋が凍る。

「もちろん約束。守ってくれますよね??」

「りょーかいです……」

 こうして俺は安直に約束したことを後悔したのだった……。


 翌日。俺たちはあの余韻から未だ抜け出せないでいた。

 結局あの後は普通に楽しんで、罰ゲームは明日の自分に託したことを今、悔やんでいる。

「ほ、ほら……。あーん」

 昼ごはんのスープを柚希にあーんで食べさせていた。

「あーん♡ おいしぃ……!!」

 そう、柚希の命令は甘やかす券の発券だ。

 つまりどういうことかというと、一日中甘やかす券を10枚も発券させられたということだ。

「おいしいか……よかった」

「えへへ!! うれしい!!」

 本気で喜んでるなぁ。これは……。

 これのルールとして絶対に否定するような発言はしないことだ。

 ただただ甘やかす。これが俺の宿命だ。今日を合わせて10日これをしなければならない。マジでブラコン妹は怒らせるな。これは俺からの教訓だ。


他の奴からもいろいろな命令が出ているがそれはまた次の話でしようじゃないか。

 今日一日はこのブラコン妹を甘やかすことにする。

たまにはこれも悪くない。かも??

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