君も今日から運動部！！！

145試合目 レースクィーンズ

「うおおおお！！！！　まけねえ！！！！」

　ハンドルを握りながら叫ぶ徹の声は室内中に響くほどの音量だった。

　現在一位は柚希だ。もし柚希を一位にでもさせてみろ。何されるかわかったもんじゃねえ。

「ち、ちなみにだが柚希。もしお前が一位になったらまず誰に何を命令するんだ」

「それはもちろん。兄さんと既成事実を作ります」

　最悪ですこの妹。兄さんを社会的に殺すつもりだ。

「ちなみに紫は？？」

「それはもちろん……僕が一位になったときまで秘密♡」

　うんカワイイんだよ？？　かわいいんだけど怖いな？？

「じゃ、じゃあ彩花は？？」

「内緒です！！」　

　あなたもかい。まあでも二人よりは確実にましだろうしいっか。

「一応春馬は？？」

「大学合格！！！」

　え？？　神龍にでも頼もうとしてんのかこいつ。

彩花は最下位。別にダジャレとかじゃないからな。シンプルに真実告げただけだからな！！！　

「ってか。誰がシンプルだ！？？」

「何が？？」　

　勝手に一人で叫んでいる徹を春馬は甲羅をぶつけクラッシュさせる。

「春馬……殺す！！！」

「あっはははは！！！」

　二人はなんだかんだで熱中していた。

　それは女性陣たちもまた、同様だ。

「紫さん。やりますね！！！」

　紫とみんなは圧倒的な差ができていた。それもそのはず、紫は見極めが誰よりもうまい。出るタイミングとか引くタイミングとか完全に理解している。

　なので自分に攻撃が当たりそうになると一歩引いて周りを盾に、攻めるときは攻めるを繰り返した結果がこれだ。

「紫本当に初心者かよ」

「ふふ。そーだよ」

　紫の余裕っぷりには驚かされるばかりだ。

結局最終局面、まだ一位は紫だ。

「これは僕がもらったかな～？」　

　そういった瞬間だった。

　彩花が圧倒的な追い上げをみてつけてきた。

「な、なんだ！？？」

「私は……このゲーム、結構得意なんです！！　実はこのゲーム、先行するより差した方が強いって常連ならだれもが知っているルールです！！」

　そういうとアクセルを全開にしてブーストをかける。

　あっという間にゴール前で入れ替わり最終的にゴールしたのは彩花だった。

「すげえ……。なんてこった」

　俺もあまりの追い上げに言葉が出なかった。

　紫の方を見ると……あ～あ。真っ白になってやがる。

「ということは？？　彩花が誰かに命令か。何を命令するんだ」

　えぐい命令でないことをどうか……！！！　と俺は願う。

「それはですね！！　次のゲームで私が徹先輩に勝ったら、私を弟子にしてください！！！」

「「「は？」」」