139試合目 決戦の後には花が咲く
「春馬先輩、ありがとうございました!!」
深々と頭を下げて彩花は春馬に感謝の意を述べる。
「気にしないでー! でも彩花ちゃんはほんとにあれでよかった??」
ビオラが賞状を貰ってる姿を見ながら春馬は言った。
「いいんですいいんです。それより春馬先輩たちは?」
「「もち優勝」」
息をそろえて赤鬼青鬼ペアは肩を組む。
「す、すげー。相手ってあのバスケ部主将の虹丘さんっすよね? どうやって勝ったんすか……」
「にじおか??」
「途中から春馬にボコボコにされて泣いてたあいつだよ」
「あー!! 急に泣いたからその間に5本くらいスリーポイント決めたら逃げた人か!」
「ああ、その瞬間さすがに俺もお前を悪魔かと思ったが、女子からキャーキャー言われてたあいつを酷い姿にしたお前に敬意を払おう」
(2人とも怖すぎる)
「さ、さすがっすね……」
さすがの彩花もこれには畏怖の様子だ。
「まあ、こんなの息抜きだからな。あれほどまるでスポーツ漫画かな? って思うほど熱中させてくれた彩花はすげーよ」
「へへ! そうすか??!」
「ただ……」
「?」
「もう無茶はするなよ?」
彩花にデコピンをしながら優しい笑顔で西屋敷は言った。
「いて! ……はい!!」
さっきの全てを喰らう怪物とは違う普通の女の子の彩花は少し頬を赤らめた。
「ふーん。彩花さんにはデコピンしてあげるのね?」
背後に近寄る変態が俺の耳元で囁く。
「うわ!! なんだよ!? 凛!」
「何とは何かしら? 後輩を甘やかす先輩くん?」
すごいのはこれで目の輝きが一切ないところだ。無茶苦茶怖い。幽霊より怖い。
「ッ!!! で……? 何の用で来たんだ?」
「用がないと近寄っちゃダメなの? ひどいわ……しくしく」
俺が会長を泣かしたとしか見えないこの状況をビオラに見られたら殺される。
こいつー!! 嘘泣きのくせに!!
「という冗談は置いといて、彩花さん。うちのビオラがごめんなさいね。あの子、狂戦士だから強い相手を見ると血が騒いでしまうの。許してあげて」
凛は深々と頭を下げる。
「いいんですいいんです! 僕もいい勉強になりましたし。またやりたいです!」
にこやかな表情を見せる彼女はまるで子供のようだった。
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
彩花と凛は握手をした後、ビオラの表彰式をじっくりと見た。
そしてひと段落した頃、少し悩みながらも彩花は唐突に口を開いた
「ところで会長と西屋敷先輩はどういう関係なんですか?」
「ペットと主人よ」
「誰がだ」
「え?」
彩花は困惑していた
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