118試合目 彼とともに
「俺たちと一緒に行動しないか???」
その言葉を聞いた紫は小さな声で何かつぶやいた後俺のほうを見てこういった。
「僕がいてもいいなら……。ただ、今は班の人と一緒にいるから各々買い物タイムになったらにはなるけど」
「ああ、いいとも。俺たちは買い物してるから余裕があったら合流しよう」
「うん!!!」
顔は少しの曇りから満開の花のようにきれいな表情へと一瞬で変わった。
うん。可愛いね?
「じゃあ俺たちはいこっか~!!」
春馬は店の方に向かう。
「す、すごい多いな……!!」
店の数がとても多い。しっかりとチェーン店から沖縄限定お土産屋さんまで様々な種類のお店が存在していた。
て、てっきり俺は小さな店が並んでいるのかと思っていたから驚きだった。
「すっごーーい!!」
驚きだったのはどうやら俺だけではなかったようだ。
俺たちは自然と足を進め、店の中に入っていった。
「ほう。服だけでもいろんなジャンルがあるな……これは各々好きなのを見に行くのがいいのではないか?」
「確かにそうね。でも一人になるのはまた集合が面倒臭いからペアで行動しましょう。私と春馬君、徹と鈴でどうかしら」
「了解した。じゃあまた一時間後ぐらいに集合しようか」
「わかったわ。春馬君もそれでいいかしら?」
「りょりょりょ!!! りょーかい!!!!」
見慣れないものにテンションが上がっているのだろうか? いつもより頭がおかしい。
「じゃあ俺たちも行くか。鈴」
「そうね!」
(ナイスだわ!! 鈴さん……。まさか二人っきりにしてくれるなんて。前みたいな攻め方はせず、今回はしっかりと足並みを徹君にそろえてできる女だってわからせるんだから!!)
「私たちも行きましょう」
「うん!!!」
こうしてお互いに分かれた四人だったが、これから起こる・・を俺はまだ知らなかった。
俺たちサイドは一緒に服を見に行くこととした。
「徹は意外とシンプル系が似合いそうよね」
「そうか??? それって俺がふつうって言いてえのか?」
「そうじゃないよ。なんだかそっちの方が似合うってだけよ。それにもう徹は普通の人間ではないわ」
「え???」
俺は困惑した。どこが普通ではないのだろうか? と。自分に特出した部分はないと思っているからだ。しかし彼女は続けてこういった。
「だって私や周りを助けてくれたじゃない」
「それは当たり前の……」
「当たり前のことを当たり前にやることって相当難しいのよ? だから当たり前にできる人は尊敬するし、それを普通だと思ってさらに上を目指せるストイックさがある人間ってそんなにいないわよ。何より……
私にとって徹はすでに特別な人よ。」
俺は何だが心が下りた気がした。そもそも俺は特別になりたかったわけではない。ただ普通ではない何かになりたかったのだ。
そうすれば俺は一歩、進めるとおもっていたからだ。
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