113試合目 再開。それはあまりにも突然。

 しかしだ。この暇な時間をどうするか……。

 修学旅行のしおりには次の予定まであと1時間ある。寝るには少し短いし、といって風呂に入るわけにもいかない。しかたねえ……。

「俺なんか飲み物買ってくるけどお前なんかいるか?」

「こーら!!!」

「りょーかい」

 俺はカバンから財布を取り出すと一階にあった売店に向かうことにした。


「しかしあれだな……」

 いろいろあるもんだな。お! 春馬はこの琉球コーラってのにするか。シーサーのロゴが特徴的だ。味はどうなんだろうな……。まあ、春馬は雑食だし問題ないか。俺はさんぴん茶ってのにするか。

 俺がさんぴん茶のボトルに手を伸ばした時だった。反対側から手を伸ばしていた手とぶつかってしまった。

「あ! すみま……って紫!??」

「え?? 春馬君!??」

「なんで紫がここに……」

「僕は修学旅行で来てるんだ。徹くんこそなんでここにいるの?」

「俺も修学旅行できてるんだ。すごい偶然だな」

 黒Tシャツにデニム、スニーカーを履いてカジュアルな姿の紫はどっからどう見ても華奢でキレイな女の子だ……。

「紫もここのホテルに泊まるのか??」

「そうだけど、まさか徹君も!?」

「うん……そうだな」

 少しなんだか恥ずかしい。告白してきた人が同じホテルに泊まるなんて……。

 (僕は神に愛されているのではないだろうか!?? こんなにうまいことがあるなんて……!! これは攻めろってことだよね!!!) 

 紫は密かに握りこぶしを作り闘志を燃やしていた。

「と、ところで徹君は明日はどこに行くの??」

「俺たちは明日は自由行動で、水族館に行った後にアメリカンビレッジってところにいくんだ」

「へえ! 僕たちも明日アメリカンビレッジいくよ!!」

「そうなんだな! 当日会うこともあるかもだな」

「そうだね!! 期待してて!!」

「期待て」 

 何を期待すればいいのかはわからないが、俺はとりあえず頷いておいた。そのあと俺たちは各々の部屋に戻っていった。


「ただいま~」

「おかえり西屋敷‼ 遅かったね!」

「まあな。さっきそこで紫とあったぞ」

「え!! いるの!? それは会いに行かねば!!!」

 俺は一人で突っ走りそうになる春馬を捕まえた。

「ダメだ。俺たちはもうすぐ飯だろうが」

「ぶ~~~!」

 本当に春馬は中身は小学生だな。

「それとお前の分の飲み物買ってきたぞ」

「ほほう!!! こりゃありがとう!」

 春馬が琉球コーラを開けて飲むとまるでしびれたかのような反応をした。

「どうした??」

「このコーラ、普通のより炭酸強くておいしい!!!」

「そりゃよかったな」

 残りの時間はずっと春馬はしびれていた。

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