103試合目 再告白

「というわけなんだ……」

「つまりは俺があいつに好きという気持ちをしっかり伝えることができれば解決するってことか……??」 

「そうなるな」

 単純に考えれば意味のわからない話だ。俺なら悶絶してぶちぎれてる。

「わかったよ。それで解決できるなら」

「いいのか!?」

「ああ。ここまで考えてくれてやらないわけにもいかないだろう? 大体、これ以上みんなにも迷惑をかけたくないし、彼女にも誤解したままでいてほしくないしね」

 めっちゃいい子や~ん。同い年とは思えんわぁ~。

 おっと、関西の優しい対応するタイプのおばちゃんみたいになってしまった。

「ふむ……。ならタイミングは早い方がいいよね?」

「いや、俺たちの方は気にしなくて大丈夫。タイミングならベストなのがある」

「ほう?? それは??」

「“後夜祭”だ」

「ということは……。毎年恒例のだね」


 後夜祭とは……。

  文化祭二日目の最後にある要は最後の祭りだ。

  ここでは毎年壇上でバンドが演奏をしたり、キャンプファイヤーで好きな子を誘って踊ったりする。

  その中でもひときわ目立つのは、サプライズ告白イベントである。

  本来なら好きな人に告白をして返事をいただくというのがとても多い例ではあるがすでに付き合っている人の参加も可能である。


「つまりはそのサプライズでもう一度再度告白をしてほしいんだ」

「わかった」

「え? そんなあっさり?」

「もちろん」

 さすがは委員長だ。すごい!! あんた男だよ……。

「ではその時にまでに言うことを考えておかなければ」

「そうだな。頑張れよ!!」

 そうして委員長こと近藤は去っていった。


 そのあと俺は仕事を終え、また紫の方に合流した。

「悪いな。待たせちまって」

「大丈夫! その間にお昼ご飯すましちゃったから」

「ありがとな」

「い、いいよ!! まだまだ楽しめるし! ……たださっきからいろんな人に声をかけられてびっくりしたよ……」

「さすが有名人!」

「もお! からかわないで!」

 顔を膨らませている紫、かわいい。

「ちなみになんて声をかけられたんだ??」

「んーっと『私と結婚してください!!』とか『俺の大会、見に来てよ』とか……。大変だったよ」

 男女両方からモテる紫、流石っす。

「で、でも僕が好きなのは徹君だからね??」

「ッ!!」

 人差し指をこちらに向けて少し照れたように頬を赤らめてじっと見つめてくる紫の破壊力は皆さまが想像するよりはるかに高い。

 戦闘力だけで言えば宇宙の帝王を圧倒するかわいさだ。

「あ、ありがとう……」

 一生懸命凍ったかのような唇を動かしていった言葉は感謝が限界だった。

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