101試合目 事件は起きる
俺たちは充分に楽しんだ後、次の時間が近くなり、クラスの仕事に戻ることにした。
クラスの出し物のところに戻ると、男子のケバブ屋の前で大ゲンカをしている男女が一組いた。
その時にはだれかわからなかったが、近づいてみると喧嘩しているのは、我らがクラスの委員長だった。
男委員長の近藤と女委員長の大橋が口論をしていた。
「だから!!! あの時! 浮気をしてたじゃない!!!」
「し、してねえよ!! 大体あれは!!」
「言い訳なんか聞きたくない!!!」
おっふ……。店の前であんなに喧嘩をされたら売り上げにすごいダメージなのですが……。
「ど、どうかしたのか?」
一応次の店番は俺たちなので、ここでけんかをされると居心地が悪い。そう考えた俺は事情を聴くことにした。
「ん? 西屋敷か。いや……たいしたことではないんだが……」
「大したことじゃないですって!? 浮気を!? 最低!!!」
はあ~ん?? なんとなく察した。
周りの人の表情を見る限り、ほとんどの人が修羅場の理由を察している様子だった。
「だから浮気なんてしてねえって! 何度言わせるんだ!!!」
だんだんイライラしてきたのか近藤もいらいらを募らせる。
これはいけないと思った俺は、この喧嘩に割って入った。
「まあまあ……。とりあえず一回落ち着いて! みんな見てるから……」
二人は辺りを見渡し、やっと自分たちのことを見ている視線に気が付いた。
「ふん!! あんたのせいで恥かいちゃったじゃない!」
「はあ?? お前のせいだろうが」
二人はじりじりとにらみつけあったまま持ち場に向かっていった。
「すまなかったな。さっきはあんなに取り乱してしまって……」
「いやいいさ。それより委員長は、浮気はしたのか?」
「浮気という概念をあまり理解していない部分はあるが、確実にしていないといえるだろう」
「じゃあ女生徒と一緒にいたというのは??」
「あれはただの後輩だ。一年だったっぽく、普段使わないクラスに向かう途中だったところを俺が道を教えた。その時のことを浮気だと言っているんだ」
その話が本当なら、浮気では確実にないといえる。
「紫はこれ、浮気だと思うか??」
「いや……。僕は思わないかな。むしろ周りにも優しくできる素敵な彼氏と僕なら思うよ」
「だよなあ……。紫はしっかりしててえらいな」
「ッ!! そ、そんなことないかな……。へへ」
紫の口角がどことなく緩んでいるようにも見えたがおそらく勘違いだろう。
とりあえずその問題を解決しない限り、また店の前でけんかされそうだな。
それは困る。俺、動きます
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