100試合目 文化祭を楽しもう!!

 メイド喫茶を出た俺たちは、次の場所へ向かうことにした。

「さて……次はどこに行こうか??」

「その前に兄さん。さっき……メイドさんにデレデレしてましたよね??」

「してない!!!」

「してました!!」

「してない!!!」

「してたよ!!!」

 なぜか会話に参戦する紫。

「いや確かにね?? メイドってちょっといいなあとは思ったけど……。デレデレはしてない!!」

「ふ~ん?? いいなとは思ったんですね? まあ……今日だけは勘弁してあげます」

 なぜだ?? なぜか今日は柚希がいつもに増して優しいぞ??

「なぜなら次に向かうのは!!! カップルで写真が撮れる!! 映え!! なスポットなのですから!!」

 なるほど……。それでか……。

「でもそれじゃあ、俺たちカップルじゃないから駄目じゃないか??」

「いいんです!!! むしろ私たちはカップルを超えた愛情で結ばれているのですから!!!」

 いや、愛情じゃなくて血縁な??

「だ、だったら僕も徹君と撮りたいよ!!!!」

「いいぜ!」

「な~んで! 紫君の時だけはそんなに素直なんですか!!!」

「素直っていうか……。上目遣いであんな風に言われたらもうオッケー出すしかないだろ!!!」

「なるほど……。兄さんは年下趣味と……めもめも」

 柚希さんや? 何をメモしてるのじゃ?? 

 俺はいろいろ考えたが、あきらめた。

「結局その写真スポットってどこなんだ??」

「屋上です!!」

「ほほう!」 

 それは確かに面白い。普段はカギがかかっていて立ち入り禁止だが、文化祭の強打から解放してくれたのか……。それは気になる!!

 

 そして俺たちは屋上にとうとうついた。

「お~! 周りは住宅街だけど、意外と絶景なもんなんだなあ!!」

「さて……兄さん! 一緒に撮りましょうか!」

「はいはい」

 二人でハート形のクッションを持つのがこの写真の決まりポーズらしい。

 しかし、写真を撮ってる時のヤジがうるさい。

「ほんと、西屋敷って柚希ちゃん好きだよね~」

「いや、あれは変態ブラコンよ」

「やーい変態徹~~~」

「ぼ、僕も妹になりたい!!!」

 ちょっと最後は違う面で危ないけど……。

「はい、チーズ!」

 普段は写真部をやっているという人たちだから、さすが。画角と言い、タイミングといい、バッチシだ。

「次は僕の番!」

 隣が入れ替わり、紫が隣に来た。

 なんでこんなにいい香りするんだろうな?? 紫って。女よりかわいいわ……

「ハイチーズ!」

 写真を撮り終わったのを見せてもらうと、どちらも顔を真っ赤にしていた。

「一緒だな。顔を真っ赤にしてんの」

「えへへへ」

 うん。この時間!! 最高!!!


 鈴ともちゃんととったが、抱き着いてきて鈴だけ、バケモンみたいにぶれてた。

「むむむ~」

「あほか。まあでも、面白いけどな?」

 鈴はそれを聞いてにっこりと笑いながら、

「っまあ、徹が楽しかったならよかった!」

 といった。少し俺は照れてしまった。

 それを見た紫は何かをメモしているようだった。

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