37試合目 シャザイ2
しばらくゆっくりした後、俺と白村は春馬たちの元に向かった。
「あ!やっと帰ってきた。というかそいつも一緒なのね。」
さくらは少し辟易していたように見えた。
「あ、あの兄さん。なんでこの人を連れてきたのですか…???まさか兄さんはちょい悪系が好き…!???」
「違うから!!!」
その会話を聞いていた白村は苦虫を噛んだような顔をしていた。
まずいな…これは…
「実はなんだが…」
俺はみんなに白村の過去の経緯を説明した。すると、
「そうだったのね…。でもあの言い方はないわよ。」
さくらはそのことに同情しながらも、叱った。
「それは私もわかってる…だから許してもらえないかもだけどごめんなさい…。」
白村はそれに対し、今まででは考えられないほど深く頭をさげ謝罪をした。
その時の白村はよく見ると唇が震えていた…
それをちゃんとみんなは見ていた。
「相川さん…許してあげてほしいな…」
春馬が小さな声でそういった瞬間、
「ゆるす~~~~!許しちゃう!!!」
とさくらは両手をひらひらさせながら言った。
こいつまじでちょろインだな…
そう心の中で思う徹だった。
「柚希も紫も許してやってくれないか???」
二人はお互いを見てコクリと笑顔で頷いた。
「兄さんがそれでいいというなら私はいいですよ。」
「僕もそれで賛成さ。」
「だってよ、白村。」
白村はその言葉を聞いた瞬間目から大粒の涙がこぼれ、
「ごめんなさああああいいいいい!!!」
と泣きじゃくった。
「おい白村、ここは楽しむ祭りだぞ!!!!泣く場所なんかじゃないぜ!!!」
「うん…ずび~~~、ありがとう…」
白村は鼻をかみ、さっきまででは考えられないような笑顔を見せた。
こいつはきっと男が嫌いと言っても、安心できるような相手を心の奥底ではほしがっていたんだろうな…。いわゆるツンのデレだな。
「よおし!!!!楽しむぞー!!!」
「「「おー!!!!」」」
ここからの時間の流れはあっという間だった。花火で会話の聞き取りづらいなかなぜか柚希とだけは会話ができたり、さくらが春馬から食べかけのチョコバナナをもらって興奮してたり、白村が紫と射的をして負けても笑ってたりと…
本当に最高の一瞬だった。
「はあ~~。笑いつかれた。」
「ん、水」
白村はさっき買ったばっかであろう冷たい水を俺に渡してきた。
「あ、ありがとう白村。」
「鈴でいいよ。」
「わ、わかった。鈴…」
「あ、あのさ西屋敷。」
「なんだ????謝罪ならもういいぞ??」
「ち、ちげーよ!…私さ、西屋敷のこと●●だ。」
ちょうど大事な部分だけ花火の音で聞こえなかった。
「なんて????聞こえなかった。」
「な、なんでもねーよ!!!!」
鈴は顔を真っ赤にしてその場を去っていった…
まさかな。
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