38試合目 余韻

 あれから二日立ち俺はいつも通りベッドで横になっていた。

 あまりの楽しさに余韻がまだ抜けない。

「ふう。」 

 ため息交じりに文字通り一息ついた。

「あれはいったい何だったんだろうな。」

 鈴が俺に言おうとしていたことはもしや告はk…

 いやいや、いくら何でもそれはないだろう。だって俺がモテるわけない。

 自分で言うが普通人間だぞ????

 あいつを道具扱いしてたやつを精神的にボコって、そのあとあいつを慰めて、噂の花火を二人で見たくらいしか…

 いやあるな!????いやいや!!!!

 徹は完全に迷走を重ねていた。迷走に迷走を重ねた結果たどり着いた答えは、

「ほえ~~~。」

 思考放棄!!!!!

 その時、徹の部屋の扉がガチャという音ともに開いた。

「おい柚希、ノックして開けろ。じゃないと兄さんがえっちな…」

 ドアを開けたのは妹の柚希ではなく、今俺の思考をぐるぐる駆け回っていた白村鈴だった。

「鈴!?????」

 徹は耳の中で爆弾が爆発したかのように体を反り返らせ驚いた。

「よ、よう…」

 鈴は顔を赤くし伏し目にしながら俺に挨拶をした。

「な、何か用か???」

 もう人が来訪するのは慣れてる。しかし、しかしだ…こいつが来るのは想定していなかった…

 そのため徹は何でここに!?よりに先に質問が口から出てしまった。

「用って言うか…なんて言うか…」

 口をもごもごしながら鈴はいう。

 いやこれは脈ありだろ!!!???おいおいおいおいモテキが来ちまったぜ!!!!ふぉぉぉぉおぉぉお!!!!

「兄さん…」

「妹よ、兄をそんな蔑んだ目で見るんじゃない。」

「わかりました。私は昼ご飯を作ってくるので二人でイチャイチャしないように…」

「いちゃ!??す、するわけないだろ!!!!」

 何だろうか、柚希のいつものたわごとなのに今日は空恥ずかしいと感じた。

「で??結局何しに来たんだ???」

「あの…連絡先知らないから…教えてほしいなと思って。」

「なんだ。そんなことか、ほれ。」

 そういうと徹は自分のSNSのコードを鈴に見せた。

「あ、ありがとう。」

 その時の鈴は決まりの悪いようにうれしい顔をした。

 おいおい…これって完全に脈ありだろ!??

 一回オブラートに包んで聞いてみるか…オブラート、オブラートだぞ!!!

「鈴って俺のこと好きなの???あ。」

  しまったあああああああああああああ!!!!!!!!!俺っていつもこうだ!!!!くっそ!!!!!!!

 そんなことを考えていると鈴が

「うん…」

 と決まりが悪そうに顔をパッと赤らめながらうなずいた。



 

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