36試合目 バカ…

 正直目の前の西屋敷こいつが何を言っているのか全く分からない…

「謝るって…それだけでいいの…?」

「ん???他にあるか????」

「ほら…体で…とか。」

「…って!そそそそんなこと言うわけないだろ!!!痴女なのか!?痴女なのかあ!!!???」

「ち…そんなわけないでしょ!!!!」

 白村は柄にもなく顔を真っ赤にして照れた。

「大体、なんであんなひどいこと言ったんだ?」

「そ、それは…」

「それは????」

「男が苦手だからよ!!」

 振り切ったかのように言った白村を見て、俺はこの話は嘘ではないと一瞬で分かった。

「男が苦手…???」

「そうなんだよ!」


 時を遡ること10年前—

 当時小学生だった白村鈴は学校で友達の女の子と話しをしていた。

「でさ~、これって本当に面白い…」

「おい、白村!!!!」

 そこに現れたのは複数人の男子だった。

「なに???」

 白村はあまり話したことのない男子だったため少し困惑した。

「これ、お前にやるよ!」

 そういうと男子はにやつきながら閉じた手を白村に突き出した。

「これなに~~?」

 その男子が手を開けるとそこにはカマキリの死骸があった。

「きゃああああああああああああ!!!!」

 白村含めた女子たちはみんな声を上げ、叫んだ。

「やーい。引っかかった~~」

 男子たちは小ばかにするような笑い方をしていた。

 ほかの女子たちが怒ってるなか、思わず白村は

「ひぐっ!うえ~~~ん!!!」

と泣き出してしまった。

 そのあとも男子たちからの嫌がらせは続き現在に至る。


「なるほど…そうだったのか…。ん?でもなんでそれならお前に彼氏がいたんだ???」

「それは、あいつが俺ならそいつらみたいなひどいことはしないよ。って何回も言うからこの人はほかの人とは違うって信じたのよ…」

 そういうことか…善人のふりをして近づくのがクズだからな…こいつは男嫌いになるのも理解できる。

「でもお前はすごいな。」

「え??」

「だって、そんなに男が嫌いでも俺とかと会話できたり自分の意見をはっきり言えたり…普通の人は人間不信になるレベルだぞ????

白村ってさ、実はいいやつだろ?」

 そういえば今まで私は、かわいいねとかスタイルいいねとか見た目のことしか褒められなかった…蓮だって結局見た目ばっか褒めてきていた…

 だけどこの目の前にいる西屋敷は私のことを見た目ではなく中身で褒めてきた…

 しかもなぜだか今ではこいつと普通に話せる…

 こんなやつ初めてだ…。

「あんただって相当なお人よしよ?」

 白村はニカッとはにかんだ。

「おお、初めて笑ったな…」

「べ、別に言いでしょ!!!!…一回しか言わないから聞いておくのよ…?

 あ、ありがとう…」

 その時だった。

           バーン!!!!!

大きな花火が打ちあがった。

「なんて???」

「もう言わない!!!」

 なんでこいつちょっと怒ってるんだ???

「っていうか綺麗だな…。」

「え!?」

「花火。」

「あ、ああそっちね…確かにそうね。」

「だろ???」

 徹は静かに微笑んだ

「あ!いい感じっぽいけどみんなには謝ってもらうからな!!!!」

「わかってるわよ!!!!今だけ…今だけ楽しませて…」

「っふ。わかったよ。」

「何笑ってんのよ。バカ…」


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