35試合目 シャザイ

「兄さんのあんな姿久しぶりです…」

  柚希は額に汗を流しながらその小さな口を開いた。

「そうか???驚かしてしまってすまなかったな。」

「す、すごいね…徹君…。」

 すごいカッコよかった!!!!!また惚れ直しちゃったよ!!!!!!すごいすごいすごいかっこいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

 紫は心の中で悶えていた…

 しかしそれに気づかない徹は勘違いをしていた。

(やばい…ちょっとみんな引いてないか!?さすがに声を荒げたのはよくなかったか!???反省だ…)

「ごめん…」

「なんで!????」

 なぜ謝られたか理解できなかった紫だった。

「と、とりあえずだ。俺はもう一つ行かなきゃいけないとこがある。」

 そう…もう一人の方にも言わなきゃな…。

「早く行きなさいよ。春馬君の悪口も訂正してもらいなさい!できなきゃ目玉くり抜く!!!」

 さくらは言い方はあれだか俺を見送ってくれた。

 そうして俺は春馬たちのもとを一度離れ、あいつを探しに向かった。

「どこだ…。あいつ逃げすぎてどこに行ったんだ????」

 徹は呼吸を乱しながらあいつを探した。

「はあ…はあ…こんなことならもっと運動しておけばよかった…はあ…はあ…ってあれは…」

 その時徹が見つけたのは木の後ろで泣きじゃくってるピンクのツインテール娘だった。 

「おい白村、なにしてるんだ…。」

「あんたには関係ないわよ…!!!!」

 これはダメだ。精神が本格的にやられている…

「彼氏のことか???」

「だから関係ないって言ってるでしょ!!!!!」

 徹が差し出した手を払いうずくまった。

「いて…。あいつならもう二度としないって言ってたぞ。」

「そんなこと言うわけないでしょ!!!!あんな性格のやつ!!!!」

「いったというか正確には言わしたってかんじだな。」

「どうやって???」

 ふむ…。正直に言えばきっと紫たちみたいに引かれるかもしれないな…ここはオブラートに、

「ぼこぼこにした。あっ!」

「え???」

 やべえ。スパイス入りオブラートに包んじまった。しまった…引かれる… 

「本当か今連絡する…」

 そういうと鈴はスマホを取り出し電話をするそぶりを見せた。

「あ、もしもし。私だけど…。西屋敷にぼこぼこにされたって本当???…ふ~ん。ださ、もう私あんたと別れるから…二度と連絡してこないで、さよなら。」

 別れるまでのスピードはっや。役場驚きの手続きの早さだな…

「本当みたいね…でもなんであいつを…???」

「お前が困ってそうだったから。」

「はあ???!!!なんでよ!!!!私はあんたにひどいことをしたのよ!?????なのになんで助けるって発想になるのよ!!!!」

 白村は予想外の回答に驚いた。

「だって。助けたらかっこいいだろ???」

「はあ????馬鹿じゃないの!???」

「でも助けたから一つお願いがある」

「な、なによ…」

 どうせこいつも男…体の要求か下衆な要求をしてくるに決まってるわ。

「みんなに謝ってほしい。」

「は???」

 


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