33試合目 ビョウドウ
「な、なんでよ!????」
さくらが声を荒げて驚くのも仕方のないことだと思う。
確かに俺たちはひどいことを言われたと思う。そしてそれを考えれば天誅と思うのが当然である。俺はいい人間でもヒーローでもない…。しかし、しかしだ。
「困っている人がたとえ悪人だったとしても見捨てるという選択をすると後悔をする気がする…そう感じたからだ。」
あとは単純にほっておくと白村があの蓮とかいうやつを殺しかねんからな…
「春馬君は何で行くの???あんなに悪口を言われたのに。」
「確かに西屋敷の悪口は許せない。だから謝ってもらう必要がある!でもそれよりな んか助けた方がかっこいいじゃん!!!!」
おいおい…
「ま、まあそういうことだな。要は助けた方がかっこいいし、誤解も解けそうだからってのが一番の理由だ。」
カッコつけたかったのに、春馬にペースを崩されてしまう。本当に面白いやつだな「で、でも兄さん!助けるってどう助けるんですか???」
柚希は少しだけ不安を交えたように俺に質問をした
「ふっふっふ。それについては大丈夫だ、兄さんに考えがある。」
俺は自信満々に胸を張り、柚希にそう伝えた。
そのころ白村は蓮や徹たちがいた場所から遠いところにいた。
「今日は楽しい祭りになるはずだったのに…。どうして?どうしてよ!!!!!」
白村は感情的になり大声を上げた。
それを見ていた祭りの客たちはざわざわと耳打ちするように通りすぎていく…
蓮がまさかあんな人間だとは思わなかった…。誰にでも人当たりはよくてすごくいいやつだと思ってたのに…!!!!
そんなことを考えていると次第に涙が頬を伝った。
そして白村は体操座りで下をうつむいた…。
一方春馬と徹は二人で蓮のもとに向かった。
「あ~。さっきはどうも!」
「君たちは…鈴と同じクラスの…」
「どうも!西屋敷徹です。」
「どうも!磯貝春馬だすん!」
徹は柄にもなく満面の笑みであいさつをした。
あと春馬…お前は挨拶どうにかしろ。
「どうしたの???なんか用????」
「いやあ実は僕聞きたいことがあって…」
「なんだい????」
蓮は不思議そうに徹に訊いた。
「実はさっきの話を聞いていたんですが、あれはいったいどういう…??」
「あ??聞いてたんだ~~~。盗み聞きはよくないよ????…そのままの意味さ。」
蓮の瞳からすうっと光が消え徹に不敵な笑みを浮かべた。
「そのままっていうのは???」
「鈍いやつだなあ…。だ~か~ら~、鈴はやったら捨てるっつってんの。」
…よし、
「春馬、録音できたか?」
「おん!」
「…え??」
二人はスマホに録音した音声を見せながら、不敵な笑みで微笑んだ。
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