第20話

六郎さんが言う。


「低い所の枝は自分や和泉さんだけでも何とかなります。

 少し高い位置の枝を切ってくれると助かります」


金津新平くんは太い枝に足を掛け、もう少し上の方へ。


「気を付けてね」


確かにあんな高い場所へは登って行けないな。

和泉さんは眺めてる。


「六郎さん、そんなに枝切っちゃうんですか」

「はい、成長し過ぎました。

 少し剪定した方が良いでしょう」


そっか、少し寂しいカンジだけど仕方ないかな。

柿の木を眺める。

と。

上から落ちて来る。


「ああっ、ゴメンなさい」


金津くんが思ったより大きい枝が切れてしまった。

先が長く伸びてて、1メートルくらいは有る枝。

葉っぱが茂ってよく分からなかった。

枝は大きい木の塊。

柿の実も付いていて重い。

重い木のカタマリが和泉さん目掛けて落ちて来るのだ。


「キャッ」

「危ない!」


六郎さん。

六郎さんが木の枝を受け止めた。

大きい枝の芯を受け止め、突き出た枝が傷つけないよう和泉さんを自分の身体でかばう。

和泉さんの身体を抱き締めるような六郎さん。


「和泉さん、ケガは無いですか?」

「あ、ありがとうございます、六郎さん」


「六郎さん!

 ケガしてます」


突き出た枝を引っかけたのか。

六郎さんの頬からは血が流れてる。


「ゴメンなさい、ゴメンなさいっ!」


金津くんが柿の木から降りて来る。


「僕のせいで…」

「いえいえ、無理なコトを頼んだのはこちらです。

 アナタが気にする事はありません」


「早く手当しなきゃ」


和泉さんが六郎さんを連れて行く。



次の日、金津新平くんは柿の実を先輩に配る。

昨日帰りにたくさん貰ってしまった。


「柿、好きなんだよね。

 労働した分、たくさん持ってって」

「はい、柿(崎)さんが好きです」


相変わらずカッコの部分はモニョモニョ。

柿の実、キライじゃないけど一人で10個も20個も食べられない。

先輩OLさんにどうぞと御裾分け。


「へー柿崎さんの家に行ったの」

「ウワサの恋人さんはどうだった?」


「恋人さんっ?!」


「にしてもヒドイわよね」

「もう何年も一緒に暮らしてるのに」


「何時まで経っても結婚しないなんて」

「男の方は遊びなんじゃ無いの」


先輩OLさん達はテキトウなウワサ話。

ウワサなんてテキトウなモノだよね。

だいたい悪いゴシップの方が広まりやすいのだ。


金津新平くんはと言うと。


あの男の人。

良い人そうに見えたのに。

柿崎さんを弄んでいたのか。

そう言えば、僕も良いようにこき使われた気もするぞ。

おのれ、柿崎さんを

柿崎さんと僕を。


分かり易くカンチガイしてた。





















という事で。

くろです。

夏の章だけ投稿のつもりだったのですが。

少しだけオマケでした。

お次は秋の章です。

10月1日から投稿予定。

ホントかな。

まだ全然展開決まって無いぞ。

まー六郎さんがなんとかしてくれるだろう。


面白くなってきたとほくそ笑む餅子ちゃん。

予想した通り。

だけど、世の中全然予想も付かない事が起こるのだ。

誰も考えてなかった恋敵が現れる!

その名は・・・。


「何でですか?

 何で、女子高生が六郎さんの部屋にいるんですか?!」


なお、この予告はくろの頭の中の妄想ですので投稿された物が全く違う内容でも責任は取りませんのでご了承ください。みたいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る