第4話
「翔ちゃん!翔ちゃん!」
響子が俺を呼ぶ声によって目が覚めた。まだ暗い。朝の5時くらいだろうか。
どうやら俺は気を失っていたらしい。
「翔ちゃん、やっと起きた...私目が覚めたら手足縛られてるんだけど、なんなの
この状況?!説明して!」
人格が戻る間に拘束を解く予定だったんだが、気を失ってしまったから手足を縛ったまま人格が戻ってしまった...
俺は、響子の家庭事情を知ってしまった。見て見ぬふりはできないだろう。
「俺はお前に隠していたことがある。それを今からお前に話す。」
俺は響子の拘束を解いてから響子に言った。
「隠してたこと?」
「先週のお泊り会で夢遊病の調査をしただろう?その調査でお前にもう一つの人格があることが発覚したんだ」
「もう一つの人格?!」
「そう、そいつはかなり危ないやつでな。先週は殺されかけた。
だからお前が寝たときに拘束してもう一つの人格の身動きを取れなくして、
少し話そうと思ったんだ」
「そんなことがあって私の手足を縛ってたんだね...」
「そして今日、そのもう一つの人格と少し話して響子の親のことを知ったんだ...」
響子は俺の言葉を聞くと普段の明るい響子とは別人のように暗くなった。
「そうなんだ...知っちゃったんだ...」
「なんで今まで相談しなかったんだ?」
「翔ちゃんを心配させたくなかったし、お父さんが怖かったの...」
響子からしたら母親を精神崩壊させて、暴力を振っている父親だ。
怖がるのは当然と言っていいだろう。
「これから父親はどうするつもりだ?」
「お母さんを精神崩壊させたのはお父さんだけど、お父さんも会社を辞める前はとってもいい人だったの!それは翔ちゃんも知ってるでしょ?」
「だから訴えたくないと?」
「うん...」
響子は嘘をついている。
「お前、嘘ついてるだろ?」
響子は図星をつかれたような顔で俺を見つめる。
「お前なんで2つ目の人格ができたか分かるか?お前のもう一つの人格は響子の
憎しみが溜まってできて、それを発散する存在だと言っていただろ?」
「うん...」
「今からかなりショッキングなことを言うぞ。お前は死刑になる可能性がある。」
「え...?」
「最近、近所で殺人事件が起こっているだろ?あれはお前のもう一つの人格が起こしたものだ。」
顔面蒼白、驚きすぎて声が出ないというのはこういうことを言うのだろう。
「だが俺はたくさん調べた。結果、精神に疾患がある場合は無罪になることがあるらしい。多重神格は精神疾患といっても問題ないだろう。それに、被害者は全員犯罪者などの悪人らしい」
「違うよ...私が無罪とかはもちろん大切だけど、そこじゃない。私の憎しみによって生まれた人格が傷つけた人達についてはなんも思わないの?」
「それは大切だ。だがお前の人格だからお前が悪いとか、憎しみを生ませた父親が悪いとか、お前を守れなかった母親が悪いとか、父親にカバーしてもらった部下が悪いとか言い出したらキリがないだろう。直接殺したのはお前の体だが一連の流れがあって事件が起こっているんだ。今回のお前は不可抗力だ。」
響子はどう返せばいいのかわからず、黙り込んだ。
「少し話が戻るが、つまりお前は人を殺してしまうほど父親を憎んでいたということになる。それにお前が俺の家でお泊り会をやりたがっていたのは父親から逃げるためだろう?これでもお前は父親を訴えたくないというか?」
響子の目は潤み、涙が流れ始め、震えた声で話しだす。
「訴えたいよ...お母さんや私に暴力を振って、殺したいほど憎んでいたの...ここで殺したらお父さんから暴力を受けなくて済む。母さんを壊した人がいなくなるんだって...」
「でも人を殺すのを考えると怖かった、人を殺すのはよくない。父親と同じになってしまうと思ったか?」
響子は頷く。
「よく踏みとどまった。」
俺は響子を抱き寄せ、頭を撫でながら言った。
「明日、児童相談所に行こう。響子は完全に不可抗力だがお前の父親のは制御ができないことはなかった。だから罪を償わなきゃいけない。」
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コメント;暗い展開を書いていると辛いです。
マジで次の作品はイチャついているだけの作品にしたい。
新作でいい感じのストーリー思いついたんですけど完全にジャンプとかの
漫画向きの作品で戦闘描写多めなのでラノベには向いていないと考えて、
書くのをやめました。裏設定バリバリ考えてたのに...
可愛い女の子と腕相撲したい(唐突)
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