第13話 雪降る聖夜 Part1
「…寒くなってきたね」
さて、気候や季節、そしてこの地方の習慣…。何一つ分からない状況だ。現在進行形で困っている。
「すみません、今日は何日でしたっけ?」
道端に佇んでいる老紳士に話しかける。
「あぁ、たしか今日は12月31日、今年も終わりを迎えるね…御二方は、何か思い残した事があったりしないかい?」
「いえ、特になかったですね…ありがとうございました」
…よく考えてみたら、大晦日って常識で考えると相当大事な日だよね…それを忘れていたって目で見られてたら大変な事になってたよ…。
「…おや?」
路地裏で少女が一人、マッチを売っているのが目に付いた。…誰一人、目もくれずに素通りしていっている。薄情な連中だ、そう思ったが、自分の過去の行動を考えると、関係ない人間にはとことん関わらないタイプだった。もしかしたら私は、あの子がマッチ売りの少女ではない普通の少女だったらあの連中と同じように素通りしていたかもしれない。ヒトとはそういうモノなのかもしれない、そう思った。
だが、あの子は今回のターゲット。素通りする訳がない。君を置いて、歩みを進める。
(あの…)
君に呼び止められた。どうしたの?
(原作通りに行くと、少女はマッチが一本も売れなかったから家に帰れず、亡くなってしまったというルートに辿り着くんですけど、それはどうすれば乗り越えられるんでしょうね…)
…確かに。この世界の通貨を持っている訳でもないし…と思い、ポケットに手を入れたら何やら硬貨のようなものがポケットに入っていた。
「うわー、ご都合主義…」
あいつ…。帰ったら殴ろう。
(…あったんですね。じゃ、行きますか)
今回も思ったより簡単なのかな?と思いながら、二人でマッチ売りの少女に向かって歩いていった。
しかし、事態は誰も予想できなかった方向へ進む事となる。
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