第10話 和解?

「…僕を捕まえて売る、もしくは奴隷として働かせるなんて考えていないだろうな」

あー、これめんどくさいやつだ。和解が望めるような心境じゃなさそう…。まあどうにかするけど。

「しりとりの続きはまた後でね」

「今その話してる場合ですかね…?」

君の冷静なつっこみを華麗(笑)にスルーして、探りを入れる。

「私たちはただの旅人さ。…」

そうか、旅人設定だから仮に「君を助けに来た」なんて言ったら更なる誤解を生むと同時に信頼が地の底に堕ちるだろう。…難しいな。

「この子は普通の子さ。差別もしないし、極めて平和を好む良い子だよ。君なら多分気持ちが分かる筈」

…嘘はついていない。一応この子もそれなりに現実で苦労しているから。共感というか何と言うか、うまく言葉にできない何かを今は欲しいかな。

「…待て、何故僕なら気持ちが分かるんだ?お前ら、何か知っているだろう?」

うっわ鋭いな。探偵職とか向いてそうだなこの子。…まあ、割とわかりやすく言ったんだけどね。さてどうしよう。

「んー、君の見た目からかな」

「僕の見た目を馬鹿にしてるのか!?やっぱりお前らもあいつらと同じ…」

あ、あらぬ誤解を生んでしまった。…

「いや、そうじゃないよ。私は君の見た目好きだけどなぁ…まず、君の身体の痣かな。気絶?してた時にちらっと見たけど、中々のものだったよ。あれは何らかのいじめか虐待、それか集団暴行…全部同じようなものだけど、そこら辺じゃないとつかないようなものだったし」

「!?…」

少し驚いた顔を見せた。もう一押しだろうか。

「まあ、【あいつら】って言ってる時点で集団…そしてその歳で親元を離れている…この二点から兄弟、それか親からの暴行を受けていた…私はそう推測したんだが、合っているかい?」

「…あぁ。ほとんど合ってるよ。…僕はアヒルの母親と人間の父親のハーフ、俗に言う鳥人だ。兄達は皆同じような見た目で生まれてきた。しかし僕だけがみにくい姿で生まれてきたもんだから、生後一ヶ月程度にも関わらず、何かしらの暴行は受けていた…らしい。ここら辺は母親情報だからあてにならないけれど、この…先程貴女が言っていた痣で事実だと確信している。そして、歳をとる事にそれは悪化していった…だから僕は、親元を離れる決意をしたんだ」

…思ったより複雑な事情が垣間見えた。これは難しそうだ。…ん?

(この世界の攻略条件って、もしかしてとんでもなく複雑だったりしない…?)

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