第8話 Forest

「…あれ、普通に街とかあるんだ。動物が主題なのに…」

今の発言かなりメタかったな。今後は気をつけよう。…よく考えたら、幻灯の選んだ世界だったなここは。…あいつ、中世ヨーロッパの世界観大好きだそうな。…そういう事ね。

「…絶対この辺りに居ないよね!?」

思わず大きな声を上げてしまう。そりゃそうだ。道端にアヒルがいるのなら、見つけ次第保護されるだろう。…てか、なんか動物のコスプレした人多くない?何?この世界にコミケあるの?

「…ま、考えても仕方ないし、居そうなところ行こうか。あの森怪しいな…」


森の中は中々に涼しかった。これがもし半袖だったら肌寒く感じていただろう。たまに吹き荒れる風が心地良い。昼寝をするには絶好の場所だ。

「喉乾いたな…この川の水飲めるのかな」

綺麗な水でも、身体に悪いという可能性があるらしい。汚い水は勿論アウトだ。ちょうどいいバランスというのは中々に難儀なものだ。

人間もそうなんだろうな。知らんけど。

「うぅ…」

突如、川の上流からうめき声が聞こえた。生まれつき耳がいいのがこんなところで役に立つとは。…あれ、君は聞こえなかった?


川の上流に行ってみると、少々みずぼらしい身なりの男の子が倒れ込んでいた。

…ん?

(あれ、この人もコスプレしてますね。何かは分からないけれど)

…え?

「まさか…この世界では【動物と人間のハーフ】が生息している…!?」

…いやいやいや、それは科学的に無理だろ!鳥類と哺乳類ではどう頑張っても子孫を繁栄させる事はできない!…いや、ここは実質異世界、何があってもおかしくはない。でも、なんでこんなところで、そしてここまで傷ついて倒れているのだろう…。

「きみ、大丈夫?」

「うぅ…ん…」

…まだ意識が不鮮明だ。しばらくここで時間を潰すとしよう。しりとりでもする?



──────────

…目が覚めた。あまり寝付きはよくなかった気がする。なんか魘されたし…って、

「あーっ!また【る】で攻めてくる!もうないって!」

「誰だあんたらはぁぁぁっ!!!」

「あっ!ごめん起きてた!?きみ、そこで倒れてたから心配したんだよ?」

…こいつ、何者だ?人間…みたいだが、性別がわからん。隣のあいつもそうだ。まさか、僕を捕まえようと…?

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