第6話 目覚め

「…」

さっきまで夢の中に居たはず。そして、なんやかんやあってよくわかんないお姉さんに会って…。

(で、起きたってとこかぁ。怖かったなぁ)

…あれ?

やけに周りが静かだ。物音という物音が全てこの世界から喪われた、そんな感じ。

(でも、童話の世界に入れたのは素直に嬉しかったな)

あの人に感謝しないと。…まあ、会えないんだけどさ。

あれ、急に眠気が…──────────



「…おはよう、目覚めは良い?」

何処なんだここ。それに、この人は一体…?

「うーん、そうだなぁ…この世界を形作っている【作者】とでも言おうかな」

作者?

「この【「君の現実」という物語】の作者だよ」

…人生?

「察しがよくて助かるよ」

いや、あそこは現実でしょう?

「【君の世界が現実である】という明確な証拠はあるの?」

…うっ。

「誰でも現実から目を背けたくなるでしょ?君もそうだ。だから夢の中での物語を…さしずめ【夢物語】といった所かな。…ニュアンスが違うかな?」

何を言って…。

「今日はそれだけ。じゃ、【現実】を楽しんできてね〜」

あ、ちょっと、待って…──────────




目が、覚めた。

あの変な人のせいで目覚めは最悪。

…あれ、この世界って、本当に【現実】なのかな。

…まあいいか。


今日もまた、地獄のような生活が始まる。

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