第3話 思い違い
何も知らない白雪姫、その白雪姫を追ってきた王妃、返り血を浴びた兵士達、居ない妖精…。全てが繋がった。
①妖精たちは全員でどこかに出かけた。あくまでこれは推測だし、見張りとかを残さないのも不自然だけどまあそこは置いといて。
②そして、追われている身の白雪姫がここを見つける。住んでいる人に匿ってもらおうと思っていたのだろう。
③王族の兵士達の事だ。しっかりと統率はとれているに違いない。前衛部隊が白雪姫の痕をつけていって、ここを見つけたのだろう。
④そして、妖精たちが帰ってくるタイミングと鉢合わせた。今この場に居るだけでも兵士は10人以上いる。多勢に無勢とまではいかないが、やはり不利だったのだろう。恐らく、いや、確実に言える。妖精たちは彼らに「殺された」。
⑤多分、④の間に私たちがここに入ったのだろう。物音がしなかったのは、事が終わっていたからだと推測する。
…まあ所詮は【推測】。なんでもありな物語の世界では常識なんてないからね。
「あ?テメェら何モンだ?とっとと去りな」
「えぇ、私たちは旅の者です。遭難してしまい、ここにしばらく居たのですが…一体何があったのですか?」
とりあえず機嫌をとっておこう。
「おや、そちらの淑女は…これはこれは、王族の方ですか。そのような方がどうしてこんな辺鄙な地へ?」
「おい、この方はただの王族じゃない。この国の王妃様だぞ。言葉を慎め旅人」
「おや、これは失礼致しました…」
「よい」
王妃の一言。一瞬で場が凍りつく。…君も、すぐにこの場を離れたいよね。その気持ち凄く分かるよ。何故かって?…私は面倒事が嫌いだからね。
「そこの旅人」
「はっ」
「この家に住む以前から、その女は居たか?」
選択を間違えると恐らく彼女と同じ目に遭わされるに違いない。困るな…。
「いえ、先程物凄い剣幕でこの家に入って来ました。面識は一切ありません」
「ふむ…」
…選択を間違えたか?いや、これが最善の筈。
「では、そこの旅人よ」
王妃は少し考えてから私を指さした。一体何を…
「その女を殺せ」
…え?
「二度は言わぬ」
…嘘ぉ…。
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