洗脳されし者の救済・4




「“サモン・ヘルキャット”」


「暇なのでヘルヘルVS洗脳おじさんズの戦いを実況したいと思います。実況は俺ネジュが、そして解説は『始まりの街の英雄』であるシェさんと、攻略組として活躍しているポポさんに来てもらいました。今日はよろしくお願いします」


ギルカンテの後ろに隠れながら、彼らの戦いを眺める。


「よろしくアル!」


「な、なんで私がこんなことしなきゃいけないのよ!」


急に割り振ったから慌ててるな。シェは楽しそうだけど。


「嫌ならしなくてもいいぞ?」


「い、嫌とは言ってないでしょ!早く解説するわよ!」


「ツンデレ発動してるネ」


「してないわよ!」


ツンデレを完全に理解してないから分からないが、してると思うわ。


「えー、ヘルヘル選手は気味の悪い猫を三体呼び出しましたね。これについてはどう思いますかポポさん」


「いきなり私!?えっと、てて、口が裂けてるから不気味ね」


「そんな猫にるらしいアル」


「そんなわけないd」


「座布団1枚ッ!」


「はぁ!?全然面白くないわよ!?」


最近うちの人形がユーモアになってる。【自動行動】のおかげか?


「ここは私にお任せを“春秋乱舞しゅんじゅうらんぶ”」


「おーっと!領主レイモンド、一瞬で猫を切り刻んだァ!!」


「今のは早すぎて見えなかったわ···」


「私はギリ見えたアル」


「張り合わなくていいのよ!」


俺は動いたことすら分からなかった。早すぎだろ領主さん。


「“殴打おうだ”」


「ここでロン選手の反撃!これは決まったかー!?」


「ふむ、やはりあなたは弱い。退場です“ヘルオータント”」


「ギルマスが吹っ飛ばされたアル!?」


「これはヘルヘル選手、青い炎を拳の形にして逆襲だァァ!」


まだ生き残っていた他の祝福者も巻き込まれた。うちの猫人も···


「ロ、ロンは大丈夫なのかしら!?」


「さあ土煙が晴れてきt···大量出ポリ!大量出ポリだァァァ!」


「大量出ポリってなに!?」


「そんなのも分からないなんてまだまだネ」


お?シェも俺が言う大量出ポリが分かるみたいだ。


「じゃあシェちゃんは分かるの?」


「当たり前ネ。大量出ポリは、大量に出るポリフェノールのことネ」


「ちげぇよ!大量出ポリのポリは、ポリゴンのポリだわ!」


なんだよポリフェノールって!


「そんなことより、みなさいよアレ!」


「どうしたドロリ選手!?頭を抱え、のたうち回っているぞ!?」


見るだけで痛そう。大丈夫だろうか?


「多分昨日見た悪夢を思い出したアル」


「あれ!?シェってこんなにボケる人形だったっけ!?」


「シェちゃん!1回黙ってて!これは洗脳が解けそうなんじゃない?」


ドロリの状態を見て、ヘルヘルが少しニヤつく。ヤバいかも···


「ヘルヘル選手、攻撃の手を緩めるどころか強めたッ!」


「ふむ、あなたも退場しますか?“ヘルオータント”」


「今度は拳ではなく、ビームだッ!!ドロリ選手大丈夫か!?」


「あの状態でこのビームは厳しいアル」


「​───防いだァァァ!!杖で立ち上がり、結界を張っている!!」


マジかよ、じいさん。俺だったら諦めるところだぞ。


「儂は···儂は···ッ!レイモンド!ロン!目を覚ますのじゃ!」


「これはドロリ選手、洗脳が解けたっぽいぞ!?」


「これは熱い展開になってきたわね!」


これでレイモンドとロンの洗脳が解けたら親玉倒すだけ!?


「でも私たちなにもしてないアル」


「じゃあ俺たちも参加するか?」


俺がそう言うと、ずっと黙ってたキーデとモウスがソワソワしだす。


うん、頑張ってくれ。俺は戦闘苦手だから、遠くで見守っとくわ。


「いくわよシェちゃん!キーデちゃんとモウスちゃんも一緒に!」


「はいニャ!」


マジで行ったよあの子たち。え、ギルカンテは行っちゃダメ。


「援軍に来たのだ!」


「ふむ、また私の敵ですか“サモン・ヘルキャット”」


また猫を呼び出すヘルヘル。実況は疲れたからもうやめるわ。


猫の対処は領主のレイモンドさんがやってくれるだろう。


「レイモンド!さっきの続きするネ!」


「あなたを倒すのは、そこの地獄青年じゃなくて私よ!」


ちょ、ヘルヘルの方が洗脳おじさんズより何百倍も危険だと思うぞ!?


「ふむ、私に背を向けるとは···さようなら“ヘルネード”」


「まてまてまてまて!ギルカンテ!絶対守ってくれよ!?」


「はっ!“鉄壁”“堅甲”」


鉄壁は【大盾術】のLv4で獲得可能なやつだな。もうそんなLvなのか。


ヘルヘルが魔法で作り出したのは青い炎の渦。みんな死んじゃうよ?


「“桜紅葉さくらもみじ”」


「魔法を···切った···?」


俺もポポと同じ気持ちだ。領主、横薙ぎで魔法切りやがった!


「みなさん無事ですか!?私はもう大丈夫です!」


おお、レイモンドも意識を取り戻したな。トリガーはなんだ?


「ドロリ···俺に回復···を、頼むっ!」


ギルマスも死んでないか。まあ今は味方の多い方がいいよな。


「あまり無理するでないぞ?“ヒーレスト”」


回復魔法···俺も使いたい。魔法の強化もしないとなぁ。


なんかシェの目がウルウルしてるわ。領主との戦闘できないからか?


「ふむ、私を倒すには、もう少し戦力がないと勝てませんよ?」


「そ、そんなのやってみないと分からないじゃない!」


冷静になれポポ。他の祝福者は全員、戦闘の余波でデスしてるぞ?俺たちが生き残れてるのは【魔法無効】の盾を持った重騎士がいるからだ。


「ニャ?声が聴こえるニャ」


キーデが突然そんなことを言い出す。誰か応援に来たか?


「ついたー!ママが遅いからだよ!?」


「ごめんなさいねぇ。あら?あの子とっても可愛いじゃない!」


「ママは戦えないんだからじっとしてて」


なんかかわいい子来たわ。








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