始まりの街防衛戦・1
「マスプは爆発型人形の量産を頼む。オノ、イベント中は商品を全て安くしろよ。シェは遊軍として頑張ってな。キーデ、トゥイスは大量にいるゴブリンを、成長型人形と一緒に掃除してくれ。モウスは全体を指揮して、頃合いが良くなったらボスを倒しにいけ」
(コクコク)
「仰せのままに」
「敵を倒すだけの簡単なお仕事アル!」
「了解ニャン」
「承知したピョン」
「私頑張るのだー!」
いきなり長文ですまんな。今日はイベント当日だ。
さっきログインしたらもう1件運営から通知がきていた。
内容は開始時刻についてで、10:00からスタートらしい。
ちなみに今の時刻は09:50だ。
俺はマスプと一緒にモウスたちを教会の外まで見送る。
お!やっぱりイベントだけあって今日はプレイヤー多いな。
防衛戦の戦闘はモウスに全ての指揮を任せるつもりだ。
だって俺、戦闘できないし。STR10だし。自分で言ってて悲しくなるわ。あ!でも、もし俺が死んだら人形も戦闘行為が禁止され兼ねないからな。うんうん。
じゃあ何するんだって?人形たちが頑張ってるの見守っておくぞ。
え?その見守るのをどうするんだって?こいつの出番だよ。
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【
生産者:ウェマー
使用者:ネジュ
付与:【
目玉にコウモリの羽が付いた道具
使用している者に記録したものを映す
一撃でも攻撃を受けると消滅する
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分かるぞ。なんて物を作ってるんだと言いたくなるよな。
俺も言った。ウェマーに。けど、最終的に俺が折れた。
あいつ「主のために頑張ったのに···」って泣きそうになるんだぞ?
男っぽいのにああいうところは女なんだよなぁ。
簡単に説明すると、この目は視覚を共有できる道具だな。
マジどんなご都合主義だよ。タイミング良すぎるわ。
そしてこの目玉、意外とかわいくデザインされている。
数はA~Eまでの5種類あってA以外は既に解き放っている。
視覚を共有したいときはステータスから選べばいいらしい。
試しにBと共有してみる。
あ、これ道具だからMPとか消費しないらしいぞ。ヤバすぎ。
お、切り替わったな。ここは···噴水か。人がたくさんいる。
「─────、─────!!」
「「「「「「「「「「「「「「──!!」」」」」」」」」」」」」」
流石に音は聞こえないか。残念だ。
誰かが演説?みたいなことをしていて、盛り上がっているな。
お、ぞろぞろと西門に向かい始めたぞ。もうすぐ開始か。
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これよりPEO初イベントである
「始まりの街防衛戦」を始めます。
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始まったな。まずはゴブリンとキーデたちがぶつかると思われる。
俺はBからCへと共有先を変え、キーデたちを見守る。
キーデとトゥイスたちも西門にいるからアイツらと合流しそうだな。
そんなことを考えていると森からゴブリンが飛び出してきた。
数はハッキリとは分からないが1万近くいそうな密度だ。
ゴブリンに気づいた俺の作成した獣人型人形たちが攻撃を開始する。
うおー!まるで戦国時代の合戦みたいに両者入り乱れてるな!
ゴブリンはすぐにやられていく。まあ雑魚だし当たり前か。
だが中には、数的有利を活かして倒しているゴブリンもいるな。
ほら今も1体俺の人形が倒された。ん?ポリゴンにならないのか。
倒された人形はそのまま残っている。ある意味恐怖。
刹那、凄まじい勢いでゴブリンに接近する者が1人。
誰だあれ?白髪女騎士は俺作成した覚えがないぞ?
と思っていると少し遅れてプレイヤーたちが流れ込んでくる。
ということはあの女槍使いはプレイヤーか。すごいな、絶対強いわ。
うわ、あのイケオジも絶対強いじゃん。筋肉が物語ってる。
イケオジは両手斧を片手で振り回してる。
対抗してかトゥイスも人参ハンマーでゴブリンを殴り飛ばしてるな。
いやー面白いな。強いやつがいっぱいいて。
防衛戦とか言ってたけどこのレベルなら余裕だな。
1時間後···
なあお前ら、ゴブリン倒してるよな?全く減らないんだが。
途中でシェもどっか行っちゃうし。まあモウスが上手く指揮してるおかげでなんとか持ちこたえてるが、それも長くはもたないだろう。
少し経つと、俺と同じことを考えた奴がいたのだろう。
今まで、森と街の間にある草原で戦闘していた、白髪女騎士やイケオジ、あれは···格闘家か?などが集まり森の中へ入っていった。
直後、突然キーデとキーデの傘下である猫人が街に向かって走る。
そんなキーデたちを監視之目が追う。どうしたどうした?
そしてそのまま街を横断し、反対の東門まで来た。
って襲われてるじゃん!キーデはそれの援軍だったのか!
音が聞こえないため俺の予想だが、キーデたちは【気配察知】などの索敵スキルで敵を確認し、足が早いためわざわざ反対側まで来たのだろう。
ん?ということは他の門も襲われてるんじゃないのか?
俺は急いで共有先を南門付近に飛んでいるDへと繋ぐ。
あ、シェさんが無双してますわ。これ南門が突破されることはないな。
南門はゴブリンだけでなくウルフもいるが全く問題なさそうだ。
1人で守っているのかと思ったがどうやら違うみたいだな。
弓使いとタッグを組んで遠距離からサポートしてもらっているな。
あ、シェに襲いかかったウルフの目に矢が刺さった。
誰が射ってんだ?と思い見てみるとエルフの青年が奮闘していた。
こいつも強いな。命中率が半端じゃない。
東はキーデ、南はシェか。北は誰が守ってるんだ?
そうなってくると当然北も気になるわけで。見ていこうか。
すげー!これは男なら興奮する展開だぞ!
ここまで西・東・南と見てきたわけだが、1つ気にならなかったか?
魔法が出てきていないと。
いや、正確に言えば使っているやつはいた。強化系のな。
だが北は他の門とは全く違う戦いが繰り広げられていた。
ここまで言えばわかるだろう。そう、魔法の打ち合いだな。
今まで普通のゴブリンしか出現していなかったが、このゴブリンは魔法を使っていることからゴブリンメイジだと思われる。
対するプレイヤーも火や水、風に土など様々な魔法を駆使している。
あ、光魔法と闇魔法を使ってるやつもいるな。
うわ、超参加したい。魔法の打ち合いほど燃える展開はあまりないぞ。
しかもこのプレイヤーたち、しっかりと統率がとれている。
恐らくあの女がリーダーだな。服装が完全に魔女だぜ?あいつ。
紫を基調としたローブにとんがり帽子を装備しているお姉さん。
ゴブリンの方が数は2倍ほど多いが、全然遅れをとっていない。
グッドだな。北も任せて大丈夫そう?なら本格的にボスを倒さないと。
もう1度モウスがいる西の監視之目に共有し直す。
おっと、これはそろそろモウスも森の中に突入しそうだな。
頑張ってくれよ。と俺は映像を見ながら呟いた。
予想以上にミミちゃんが人気だった件
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