初めての創造




厳粛な雰囲気、美しいステンドグラス、そして祈りを捧げる声!


ここは教会で間違いないだろう。


つまり俺はあの謎の白い空間で死んだわけだ。


死因は自爆だな。


微妙なスキルでも1度は試したかったんだ。てへ。


あ、かわいい金髪シスターさんがいる。


PEOについて聞くと同時にあわよくば仲良くなろっと。


「すみません、あなたはシスターさんですか?」


一応敬語で会話しておこう。


「はい、そうですがどうされましたか?」


やばっ、笑顔も素敵です!


「俺、今この世界に来まして。右も左も分からないのです」


早く人形を製作したいが、情報が大切なのは分かるだろ?


「貴方様は祝福者でしたか。私に何でもお聞きください」


そういえば、公式サイトに俺たちプレイヤーを祝福者と呼ぶと書いてあったな。ちなみにNPCは現地人だそうだ。


「ではいくつかお聞きします···やっぱ敬語無理だな。普通の口調でいかせてもらうわ」


20秒ほど前に誓った、敬語で会話する宣言終わり。


わざわざゲームで敬語使う必要ないだろ。楽だし。


「ふふ、よく祝福者が聞いてくることは、地理とレベルアップについてですね」


え、このシスターすごくできる人じゃん。


俺も地理は知りたいな。


レベルアップはどうでもいいけど。


「じゃあ地理とお金の稼ぎ方を教えてくれ」


お金はどの世界でも大事だってじっちゃんが言ってた。


「分かりました。まず地理から説明しますね。ここは始まりの街イサと呼ばれ、南から北西にかけて森が形成されており、あとは草原です。北に進むと第二の街ダラワ、第三の街タトロそして王都アパト王国があります」


「ちょっと整理させてくれ」


シスターさんがなんて言ったか覚えてるよな?俺。


まず、南から北西にかけて森になっているらしい。


そして北と東は草原と。ここまでは把握した。


北の草原を進むとやがて王都に辿り着く訳だな。


イサ、ダラワ、タトロ、アパト。これなんか意味あるのか?


俺にはクソどうでもいい話だがな。本題は次のお金の話だ。


「すまんな、次はお金について頼む」


「次にお金に関してです。基本知識として通貨はペオと言い、ギルドで販売している回復ポーションが1つ100ペオですね。最後に稼ぎ方ですが、冒険者となり依頼を受け、達成金で暮らしていくか、商人や鍛冶師、薬師などの生産職として商品を販売し儲けるか。主にこの2つです」


こっちも説明が長いな。1つ1つ確認していくか。


まずペオについてだな。


多分これゲームの名前だよな?


回復ポーションが100ペオということはだいたい円と同じか?


いや、まだ実際に取り引きをしてないからなんとも言えないな。


そして稼ぎ方だが、予想はできていた。


そんな俺にはベストな稼ぎ方がある!


それは、人形に任せることだ!


正直、算数とか訳わかんねぇし、任せた方が絶対いいわ。


「ありがとうな。最後に名前を聞いてもいいか?」


「大丈夫ですよ。私はノーンと申します」


ノーンさん、いい響きだ。


NPCともフレンド交換出来たらいいのにな。


あ、フレンド機能とかはキャラクリのときに知ったと説明しておこう。


メニューがあってだな、マップとかメール機能があったぞ。


って一通メール届いてるんだけど!?


外に出ながら開封することにしよう!中身はなーにー?


━━━━━━━━━━━━━━━

ネジュ様へ

初めましてネジュ様

生産神です

あなたに私のスキルを

取得してもらい嬉しいです

これは私からPEOを生きる

ネジュ様に向けての餞別です

では、頑張ってくださいね

生産神より

━━━━━━━━━━━━━━━


まさかの神でした。神がメール送ってきました。


「餞別は···スキル選択チケット!?」


え?生産神の効果えぐいのに、まだ俺を強くするのか?


「これ悩むな〜。ピンチのときに使うか、今使うか」


これマジでどうしよう。今は使わず温存しとくか?


そうだな、そうしよう。温存しとこう。


とりあえず軽く街を探索して人形製作に取り掛かろうと思う。






PEOの世界はゲームとは思えない完成度だな。


簡単に街を説明すると、教会は西地区にあった。


冒険者ギルドは北地区にあり、商業ギルドは東地区だ。


南地区は領主の館があったな。多分誰も興味無い。


商業ギルドにはもう行ってきた。あそこは素晴らしかったぞ!


なんてったって今はリリース記念で全ての商品が大幅値下げだったからな!


そんな俺は今、冒険者ギルドで登録をしている。


「ありふれたギルドの設定と同じじゃん」


よく小説や漫画で見るシステムだったから、説明は割愛するぞ。


「依頼は必ず受けないといけないのか?」


「···当たり前。半年に1回のペースで顔だして」


俺に説明しているのは、受付嬢のナユという赤髪の現地人だ。


「了解した」


半年に1回か。年に1回にしてくれないかなー。


よし!街の探索はここら辺にしておこうか。


次はお待ちかねの人形作成だ!


どんな人形を作ってやろうか···イヒヒヒヒ。


あ、女のプレイヤーがこっち見て苦い顔してる。


すみません。手の動きキモかったですよね。


そして俺は北地区から東地区に向かった。









すまん、集中してるから端的に説明するぞ。


俺は現在、商業ギルドのレンタル工房にて人形製作に励んでいる。


使用料はなんと無料タダだ!


はい?なんでスキルの【工房】を使わないかって?


レベルが低すぎて全然満足できる場所じゃないからだよ。



レンタルした工房で、試作1号を作成した手順と同じで作業していく。


だが今回は材料が違うのだ!


さっきは【水魔法】と【土魔法】を複合したもので作成した。


しかし今回は商業ギルドで売っていた石粉粘土ファンドを使おうと思う。


お値段なんと20kgで10000ペオ!絶対安い!


しかし俺が作っているところを見たいか?見たくないだろ?


おっさんが作成しているとこなんて需要がないのでカットだ。








流石ファンタジー世界といったところだろうか。


パーツを作成する際、想像通りのものができあがる。


そのためあまり時間をかけずに作れるのはいいと思った。


俺は色々と試行錯誤しながら最初の人形を完成させた。


だいたい150cmくらいの人型だな。


ボブカットで作業服を着ているのが特徴の女の子だ。


材料をキープしておくため、胸はないぞ。


あとは【命灯】で生命を宿すだけの簡単なお仕事。


「“命灯”」


瞬間、まばゆい光が辺りを包み込み、俺は本能的に目を閉じた。


そして次に俺が目を開けると、そこには女の子がいた。


勘違いしないでくれよ、こいつ動いてるんだぞ?


つまり成功だ!あとは話せるかどうかだな。


「えーっと、話せるか?」


(ブンブン)


言葉は発しないが、懸命に首を横に降っている。


こちらの言葉は理解していると考えてよさそうだな。


「とりあえず移動するか」


一度借りたら12時間はレンタルできるが、俺たちは移動することにした。


だって狭い空間で女の子と2人っきりとか耐えられないじゃないか。








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