194)廃倉庫での来襲-4(テロ殲滅戦②)
一方真国同盟のテロリスト達はエクソスケルトンに白い障壁が展開された事に驚いて叫んだ。
「な、なんだ!? 白いのは!?」
「次から次へと! とにかくLAMぶっ放せ!!」
大声で言い合うテロリスト達の声に刺激されLAM(携帯対戦車弾)を右肩に構えていた男がロケット弾を発射した。
“バシューン!!”
火薬により発射されたロケット弾は次の瞬間、固体燃料ロケットに点火して、秒速300mの速度で飛翔する。
ロケット弾が発射されるとテロリスト達は爆発の影響を恐れて一斉にエクソスケルトンから距離を取った。
一瞬の間にエクソスケルトンに到達したロケット弾は爆発を起こす筈だったが……
……ロケット弾は空中で止まっていた……
ロケット弾は空中で静止したままで、ロケットブースターから炎を出したまま静止している。
「馬鹿な!! 有り得ねェ!!」
「ど、どうなってんだ!?」
テロリスト達は有り得ない状況に戸惑い大声を出す。そんな声に反応するかの様に、制止したロケット弾のすぐ近くに玲人が現れた。
いや、実際は前原を守る為に前原が操縦するエクソスケルトンの正面に居たが、ステルス迷彩機能により周囲の風景と同化していた為、姿が見えなかったのだ。
現れたその姿は眉間に見える生々しい隻眼が光る流線型の黒いヘルメットと真黒いスーツを装着している。
玲人は前原のエクソスケルトン突入時に既に廃倉庫内に侵入していたが、LAM(携帯対戦車弾)が発射された時、能力を発動しロケット弾を制止させたのだ。
玲人は右手を差し出してその掌を光らせると制止させたロケット弾の周りに白く光る障壁が球状に展開された。そして差し出した手の平をグッと握ると……。
“ドガガガアアン!!”
突如ロケット弾が白く光り、轟音と共に爆発した。本来なら真横に居る玲人だけでなくエクソスケルトンも吹っ飛ぶほどの威力を持つ対戦車弾だったが、障壁の為全く問題がなかった。
「「「…………」」」」
その様子を見た真国同盟のテロリスト達は余りの事に言葉を無くし、呆然と立ち尽くしていた。
LAM(携帯対戦車弾)は命中率は低いが装甲350mmを貫く程の火力が有る。複合装甲を持つ戦車とて、当たり所によっては無力化出来る。装甲車など一発で大破出来る破壊力を持っている。
LAMは真国同盟のテロリスト達にとって安価で有りながら効果的で極めて強力な武器だった。それが、理解が出来ない方法であっという間に無力化された事が彼らには容易に信じられ無かったのだ。
驚き固まっている真国同盟のテロリスト達を余所に玲人はすかさず、次の行動に出る。
右手を高く上げ、握っていた手の平を開いて天に向けた。すると右手の平に黒いモヤが発生し、何かの形を成していく。
……それは黒い針だった。長さは50cm位だろうか、太さは2cm程ある。両端が鋭く尖った剣の様に大きな真黒い針が全部で16本生成された。
「……先ずは車だ……行け」
玲人がそう呟くや否や、生成された黒い長大な針は一斉に廃倉庫内に止めてある古いランドクルーザーのタイヤに向かって……
”ガスン!” ”ゴガン!” ”ガガン!”
4本のタイヤ全部に長大な50cmの黒針を斜めからホイールごと突き刺し、4台の車を地盤に縫い付けた。
“ブシュシュー!!”
突き刺された針によりタイヤから一斉に空気が音を立てて抜けた。ランドクルーザーは空気が抜け、4台共車高が下がった。
古いランドクルーザーは全ての車輪が長針によってアンカーの様に地盤と車輪が縫い付けられてしまった。玲人が長針を生成にするのに掛かった時間は僅か3秒、そして全ての車両が破壊されたのは針が投げ付けられてから1秒も掛から無かった。
「お、おい!! 一体如何いう事だよ!?」
「何が起こってる!? く、車が……」
真国同盟のテロリスト達は移動用の車両が一瞬に全て破壊された事に驚き、慌てて叫んだ。驚くのも無理は無い。
状況打開の為、放ったロケット弾は有り得ない事に空中に停止し、そのまま爆散した。何が起こったか分らず固まっている内に突如、車が長針で車輪を地盤に縫い付けられる等、考えられない方法で一瞬の内に破壊された。
次々起こる有り得ない状況に真国同盟のテロリスト達は慌てふためくしか無かった。LAM(携帯対戦車弾)が理解不能な方法で無効化された後、呆けていた僅かな間に10秒も掛からず廃倉庫内に停車していた全ての車両は破壊されたからだ。
テロリスト達が動揺している隙に、前原と沙希のエクソスケルトン組は、装備されたランチャーから催涙弾を撃ち出した。ランチャーから発射された催涙弾は地面に転がり勢いよく催涙ガスを撒き散らした。
“ブシュー!”
真国同盟のテロリスト達は立ち込める白い煙に騒然とする。
「ガスだ!! ち、ちくしょう!!」
「マ、マスク何処だ!? は、早くしろ!」
「う、うわああ!!」
撒き散らされた催涙ガスに対応出来ないテロリスト達は何も考えず、窓から飛び出す。
二か所ある出入口は恐ろしいエクソスケルトンが立ち塞がっているからだ。パニックになった真国同盟のメンバー達が窓から飛び出した瞬間……
“ターン!” “ターン!”
「ガアア!!」 「ギャア!!」
射撃音と共に窓から飛び出した真国同盟のテロリストは悲鳴を上げて転がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます