目覚め
たとえば、ちょうど退屈な時に友人からの誘いが入るような。たとえば、暇だった時間が誰かの乱入ではちゃめちゃになるような。
そんなふうに、何かが暇な時間を埋めてくれるだろうと、期待していたのは否めない。まあ実際は何もなかったから、こうやってつまらない時間を過ごしているのだが。
手癖で取り出していたタバコに、手癖で火をつける。いつのまにか自分は喫煙所に来ていて、いつのまにか口内にタバコの味が充満している。
なんという体たらく。見違えたように堕落した生活。本当に昨日までのきっちりとした人物かと、自分自身でも疑わしく思う。しかし、こうも私が腑抜けた原因は明確だった。単に、目的を失ったからだ。
「まさか本当に終わっちゃうとはなぁ」
なんて一人ぼやいても何もない。行動指針を失った私は、北を忘れた方位磁針のように、あてもなく彷徨い続けるだけだ。
寝起きの枕 蜜柑 @babubeby
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。寝起きの枕の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます