第15話 理の勇者
(賛成してないって...なぁ、その“反対派”って何人ぐらいいるんだ...?)
もしかしたら、そいつらは少数派でしかないんじゃないのか。俺はそこに希望をかけていた。
──あるいは現実逃避だった。台頭してきた。マーリンはそう、言っていた。
『えーとぉ...何人ていうか、全体の4割ぐらい?』
(...たしか、幾万の“勇者”がいるんだよな)
『...えぇ、そうね』
(それって、やばくないか)
『やばいわ』
やっぱりやばいのか。スケールが大きくて逆に想像がつかない
(ちなみに、マーリンや、アルザード、ヘリワードは“賛成派”ってことでいいのか)
俺は、少し気になったことを聞いた
『えぇ!そうよ?あなたなら“魔王”を倒せると、アタシたちは信じているわ!!』
...よかった。そうだ、決して“反対派”だけではないのだ。俺は俺を信じてくれる人と共に進んでいけばいい。
(ちなみに、“賛成派”は何割ぐらいいるんだ?)
『...』
(マーリン?)
何故か返事がなかった
『...12人よ...』
...へ?
(あの、もう一度言って─)
『だから!12人しかいないの!!』
(...嘘でしょ?)
あ、まきびし刺さった。俺は呑気にまきびしだらけの道のりを幻視した。
─────あれから、少し経って。
お互い冷静になったと考えた俺は再び声をかけた。
(...なぁ、話を戻すけど3つ目の方法って何なんだ?)
『え?あぁ、そう言えば説明してなかったわね。3つ目の方法は、あなたが1、2の方法を用いて私たちと能力の同調ができるようになった時、アタシと同調することで初めてできるようになるわ』
マーリンと同調しないとできないこと...俺は、恐らくマーリンのスキルに関することなのだと思った
『その通りよ。あたしのスキルは【術式創出】。要は、頭の中で思い描いた現象を魔術に変換することができるの』
めちゃくちゃ強力なスキルだ。自在に魔術を生み出す、なんて、そんなスキルが存在するのか。
『フフ、ありがと♪まー便利っちゃ便利なんだけど、大規模すぎる現象だと、術式は出来ても魔力が足りなくて使えないのよね』
(一体何を想像したんだよ...)
『んーと、山を消し飛ばしたり、海を干上がらせたりするやつね。』
そんな魔術、今すぐにでも消し去って欲しいところだ。たとえ使えなくても、存在するだけで物騒だ。
『使えない、ね...フフフ』
(...なんだよ、その不気味な笑みは)
『フフッ、なんと!天才すぎるアタシは魔力を丸々ストックする魔術を思い付いて、そういう超燃費の悪い魔術でも使えるのよね~!』
(...あんた、ヤバいな)
『あら、そう?でもそのお陰であなたもこの〈魔力ストック〉を使えるのよ?アタシと同調して〈魔力ストック〉を使って魔力を溜め込めば、魔力の成長にも繋がるし、将来的には複数の“勇者”と同調できるようになるわ!』
(なるほど...)
確かに、それはかなり魅力的だった。
『でしょ!?そうすればあの、ムカつく“反対派”の連中も掌ひっくり返して“賛成派”に付くに違いないわ!そのまま“中立派”も取り込んで、今度こそ“魔王”を仕留めるのよ...!』
その言葉は、俺に対して言っているというよりかは、自分に言い聞かせているようにも感じた。
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