第7話 でぃあ あかねちん≪後編≫
私の中から、みかんの記憶を消去される。想像しただけでも身の毛がよだつ。
でも、マリーが手助けをしてくれているのは何故?
マリーは私たちと敵対関係だし違和感しかない。このことも、みかんからの種明かしの手紙に書いてあるのかな。
読み進めればわかるかな……
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あ、そうそう!
鞠が何で人間界に居るのか。
きっと、それも不思議に思っているよね。
この理由も簡単。
鞠は人間界で危害を与えるほどの能力を持ち合わせて居なくて、人畜無害だからガン無視でオケ。相手にするだけ時間の無駄である。つまり、鞠のことをアンドロイド審査会が相手にしなかった。ただそれだけ。
って、笑けるよねっ!
どんだけへっぽこなんだって言う。あははっ!
僕からしたら、そのことが、鞠が人間界に残ったことが、大大大ラッキーだった訳だよ。
まあ、僕が人間界に復帰してからサルベージしてもよかったのだけど、あかねちんに僕が居ない寂しさを味あわせなきゃならんと思ったからさ。へへっ。
そうそう。
僕がおっさんの所に強制送還された後、アンドロイド審査会へ手続きに行ったとき偶然、
その時、僕はすかさず栗鼠に「鞠から、あかねちんに呪文をかけるように伝えてちょ!!」って、お願いしたのだ。
それと、あかねちんが目を覚ました時に、この手紙を渡すように。ってね。
栗鼠は生意気に、最初は嫌がっていたけれど、「人間界に戻ったときに、みゅうとの仲を取り持ってあげる」って言った途端。
栗鼠はぴょんぴょん飛び跳ねて「キャーッ!! 飛田万里様ぁ!!」なんつって狂喜乱舞して、二つ返事で引き受けてくれたのだ。
ちょろいわー。
みゅうのことどんだけ好きなんだよ! あかねちんが女好きとか言えないじゃまいか。あははははっ!
あ、みゅうで思い出したけれど、あいつバカだから呪文効かないじゃん……?
もしかしたら、僕の記憶も残っているかもねー。だから、暫く僕のこと問い詰められる可能性があるけれど、華麗にスルーでオケ。ヤツのことはテケトーに流しておいて!
……まあ、そんな感じ。
うん。
僕は必ず、あかねちんの元に戻るから、あかねちんも僕のために純潔を守っといてね!
浮気しちゃだめだぉ!
僕も、おっさんに指一本触れさせないからさー。
また、おっぱい充電できる日のことを楽しみにしてるぉ!
では、またにー!
あかねちん一筋のみかん🍊より。
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みかん……
無事で良かった。
ロボのくせに何枚も手書きで分厚い封筒で送ってくるとか、どんだけなのよ。そこはメールとかSNSじゃないの?
でも、みかんらしい手紙、最初は呆れて読むのやめちゃおうと思ったけれど、後半になって、そのみかんのロボらしくない人間のような、人間以上の温かみに触れて、瞳から涙がぼろぼろと零れ落ちるのを止めることが出来なかった。
まったく、呑気に何書いてるのよ。
浮気しちゃだめとか恋人に使う言葉でしょ。
私達は双子の設定なんだからね。こんなの他の人に見られたら、それこそ目も当てられないわ。
……って、もう。
浮気なんかしないわよっ!
する訳が無いじゃない!
私だって、みかんに負けないくらい、みかん一筋なんだからね!!
みかんが帰ってきたら、腰が折れるくらいぎゅうって、ぎゅううううーーーって、抱きしめてやるんだから覚悟しておきなさい!
あ、そう言えば、みかんの記憶を取り戻す代償として、昨日の夜から今までの記憶が無くなっているとか。
そうすると。
私が、起きてから10時間くらい空白の時間があると言うことか。私に限って変なことはしていないとは思うけれど、念のため明日萌ちゃんに、それと無く昨日の私の様子を聞いておこう。
でも、うん。
例え何かやらかしていたとしても、みかんの記憶が無くなってしまうことを考えたら、安いものだと思うことにしよう。
それにしても本当にアンドロイド審査会って色んな意味で凄いのね。人間の記憶操作を大規模範囲で行うことが出来る。
これって普通に怖いでしょ。
だって使い方によっては、脳内操作によって人類を滅亡させることも簡単に出来ちゃうってことじゃない……?
だから、審査会の中で厳しい法律が定められているのか。暴行罪で強制送還されちゃうのも止む無しなのかなあなんて、ちょっぴり思ったりもする。
そう言えば美由宇は、呪文が効かなかったんだっけ。何か言ってくるかな。
師匠はどこに行ったのにゃ……!
とか。
でもアンドロイド審査会によって行われた記憶消去でさえ、美由宇に通じないとかあるのかな?
それ最強でしょ。唯一、呪文の効力が効かない人間。そう考えたら彼女は一体、何者なんだとも思う。
明日、万が一、美由宇から、みかんのことを聞かれたら、どうやって誤魔化すか考えておかなきゃ。
それに、もしかしたら私、記憶の無いところで絡まれているかもしれない……今さら気にしても仕方のないことなのだけれど。
それにしても、みかんは強制送還された後も、私のために色々と動いてくれたみたいで胸アツだ。
だって、私と一緒に居る時は、そんな素振り全く見せなかったくせに。
本当に私寂しかったんだからねっ!
帰ってきたら文句言ってやらなきゃ!
うん。私頑張る。
いつみかんが戻ってきても、みかんから私のこと好きって言ってもらえるように。
そうだ。
みかんに手紙のお返事書いて、マリーちゃんに渡してもらおう。
「私は元気。大好きだよ」って。
みかん、またね。
――その頃、
「ほ、ほら、みかん……修理するから服を脱ぎなさい。いやらしい気持ちではないぞ。義務からだ。義務なのだ。博士としての義務。……な?」
「ムリ。って言うか普通にキモいわー」
「な、なんだとっ?! 服を脱がないと修理できないではないか! あかねくんの家に戻りたくはないのか!」
「だいじょーび! 僕に直接ソフトウェアアップデート、ファームアップのデータ転送すれば良いよ。それに部品交換だって、僕、ホットスタンバイだから自分でできるぉ!」
「な、何故そのことを知っている?!!」
「栗鼠に教えて貰ったぴょん。いえーい。てへぺろ」
「ア、アリス様が……? なんてことだ……」
「アリス様とかホントキモいわー。死ねば良いのに。」
「くっ……生みの親に何てことを……」
「てへぺろぺろりんっ」
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