最近の手紙
今日は快晴。風もなく過ごしやすい日だ。俺は今、希望と一緒に公園にいる。
それは1時間前のこと……
『ねえ、また今日も同じ内容?』
そうパソコンに打ち込んだ彼女の顔は心底つまらなそうだ。
ーー嫌なら従わなければ良いだけなのに。
手紙でやりとりはしているものの、希望がうちに入り浸る頻度は増え、最近は毎日のように来るようになった。きっと目的は、お菓子(伊吹が選ぶおしゃれなもの)と書斎にある本なのだろうが。
うちに来ることは、手紙で指示しているわけじゃない。希望が自分の意思で選んでいることだ。本人に自覚があるのかはなんとも言えないが、自分の意思を持てていることは悪いことではないだろう。
色々考えながら一人で納得していると、希望に肩をどつかれた。
ーーそう、問題は俺の方。
書いている手紙の中身が一向に進展しないのだ。中身は一旦置いておくにしろ、文章力の方もだいぶ怪しい。
「今までどうやって書いてたんだろうな……」
自然と出た言葉は、思いのほか暗く切羽詰まった声色だった。それが自分から出た声だと思わなくて驚く。希望も同じだったのか、ほんの少しだけ目を見開いた。そしてしばらく考え込むと、何かを打ち込む。
『今日は私が決めたことをあなたもする』
拒否権は無いのかよ。というか文章力はこいつよりある絶対。
ーーそして今に至る。
二人、草の生えた地面に座り込む。二人とも特におしゃべりなわけでも無いので、静かな時間も苦に感じることもなく時間は過ぎていった。
人生作家 ちひつ @tihitu
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