回想の手紙 3
希望が手に取った本をいくつか貸して、居間へ戻ってきた。
俺が人生を書くことを承諾したとして、決めなければならないことが出てくる。
とりあえず、既に希望が考えてきていたらしい手順を聞くことにした。
『私の行動と、その後起こったことをあなたが書くの。私が何をするかはあなた次第』
責任が絡んでくるとなると気が乗らない。
それを表情で読み取ったのか、
『どんな運命になっても私は受け入れる。あなたが誰にも言わなければいい』
そう打ち込んだ。
まだ少し俺が渋ると、暇そうだしいいじゃん、と痛いところをついてくる。
確かに最近、一向に筆が進んでいない。上から直々に休養をもらったわけで、気にやむことはないのだが、急に書き始めるのは現実味がないと思っていたところだった。
とはいえ、四六時中一緒にいる訳ではない俺が、彼女の行動を作成することは不可能に近いだろう。
『あなたが決めたことをした結果を手紙に書く。あなたはそれを読んで次を決めて手紙に書くだけ』
彼女はまるで、俺が引き受けるのを分かっていたような口ぶりだった。
そうして俺は、人生作家になることを引き受けたのだ。
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