可能性の手紙
指定された時間より、だいぶ早くにカフェに着いた俺はソワソワしていた。これから手紙の送り主に会うからだ。
感情の内訳は、緊張5、興奮1。残りの4は知らない。きっと携帯と共に家へ置いてきたんだろう。
兎に角、俺はそれくらい焦っている。
よく考えてみると、俺が持っている相手の情報は、嘘か本当かわからない住所、高校生一年生であること、そして俺に人生を書いて欲しいことだけ。
手紙がただのおふざけで、中身が嘘な可能性は十分にある。送り主がここに現れなくてもおかしくはない。最悪の場合、すっぽかされるだけでは済まないかもしれない。でも、今更後悔をしても仕方ない。
腹を括った俺は三杯目のコーヒーを注文した。
待てど暮らせど、待ち人は来ない。約束の時間から既に二時間は経っている。やはりいたずらだったか。期待していた分、残念に思えた。
カフェを満喫できたことを素直に喜び、席を立とうとしたその時。
ーーカランコロン
店のドアに吊るされている鈴がなった。その音で俺は少し冷静になる。
送り主は、俺のことをどれだけ知っているのだろうか。手紙を送ってきたのは住所を知っているから。それ以外は……、
……もし俺の顔を知らないとしたら?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます