第一章 双頭の巨人

 その巨体は「双頭の巨人」とは呼ばれていたものの、頭は一つしかなく、しかし肩の上には、かつてもう一つの首が載っていたらしい痕跡が、不格好に残されていた。

 手勢を率いて海を渡り、この大陸へと押し寄せた。

 都を攻めて三日三晩、人の軍と戦ったが、ついぞ三重の城壁を破ることは出来ず、土くれとなって滅びた、という。


―― フィオナ国保管: 年代記の記録より

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る