Go ahead, go ahead, even if you lose
第十六話「last storm」
「レーリ…目、開けろ」
風と暗闇の中、それだけが五感に響いていた。
誰かの声で、目を覚ました。
「……ん?」
目を開けると、紫色の雲が広がっていた。
「———え?」
確か、あの時私はあの大穴に飛び込んだ。
アスヤさんを助けに行くために———。
「レーリ、起きたばかりで悪いが落ち着いて聞け」
声の正体、先生がそこにいた。
「…はい」
「リラは———敵に回った」
Country to stop. 最終章
◽️Go ahead, go ahead, even if you lose◽️
立ち上がって、バーナー先生の背中を見た。
服がビリビリに裂け、傷とあざがいくつもあった。
そして、その向こうにいたのは——。
「サズファー…」
待っている、恐らく——"私たち"と戦うのを。
「…何があったんですか」
周りを見渡せば、私たちのいたあの空間は原型すらない。
止国用の爆弾でさえ、ここまで地面を抉るほどの威力のものはない、恐らくは地下に保管されていた爆弾だろう。
「爆発だ、お前とリラ、アスヤ以外の生死は不明だ」
ロボハン、ナレイ。
「…被害範囲と他の教官の方々は?」
「元から別の場所にいたからな、教官の生死は分からんが…範囲は———"この国の半分"だ」
大雑把に言ってしまえば、十九km²が消し飛んだ、ということになる。
「———半分…?」
「…消えやがった」
半分、島国の半分が消えた?
そんな爆弾が、私たちの戦っている地面の下にあった?
「バーナー先生———」
もう考えるな、今から考えるべきことは今からのことだ。
目の前にいるあの男に、勝つことだ。
「逃げろレーリ、サズファーは俺が足止めする」
◇一時間前
「親父」
二人目のミーレ・イクツガ、その男は死んだ。
とどめを刺したのは、俺の拳だった。
「ロボハン、先に進め」
父親がはいた言葉は、親の言葉ではなく兵としての言葉だった。
それでも、その大きな背中に現れる逞しさ、その低い声に父親を感じた。
「俺は嬢ちゃんとラクスのとこに行く、その後合流する」
「分かった、ありがとな、親父」
気恥ずかしい言葉を並べる気もなかったからか、一言感謝してその場を去ろうとした。
「いいもん見せてもらったぞロボハン、親孝行にしちゃ上出来だ」
「バカ言うなよ、孝行されるようなことしてねーだろ」
生まれた日にしか会ったことがなかった、その親父に、初めて苦言を呈した。
「…親父が俺より弱くなったら、親孝行してやるよ」
「あぁ、俺より強くなれよロボハン」
…
童楼咲葉は、殺された。
誰かといえば———誰に?
状況は目でしか捉えられなかった。
私はロボハンに言われた通り、リラ・リンと童楼咲葉の後を追った。
奥に着いた頃、そこにあったのは——童楼咲葉の死体と——銃を持って血に塗れた、リラ・リンだった。
だけど、あの目はリラ・リンじゃない。
別の誰かの目をしていた。
光もない、一色の瞳。
そして、笑った。
「…ッ!」
その顔に血の気が引いた。
寒い、寒い、寒い寒い寒い寒い寒い———。
足が動かないのは恐怖——?
恐怖よりも恐ろしい何か、死を超越したような夢幻。
「フ…ハッ…ハッハハハハ!!!!」
笑っていた、その場に立っていた少女は。
「…リラ・リン?」
恐怖からの私の第一声、それは名前だった。
その少女に、知っているはずの少女に名前を聞いたのだった。
「ええ、でもあなたの知っているリラではないけどね」
「そんなのは分かってる、あなたは誰——?」
「偽物を見るような目で私を見るのはやめてくれる?あなたが知りたがっていた…本物だけど」
本物、彼女は自身の口からそう断言した。
理解した、私が今までリラ・リンに感じていた不信感の正体。
「そう、サズファーに殺される前のあなた…ってわけね」
正解だが、ありえない。
ハッタリ?———乗っ取られている?
元の記憶が残っているということはある、しかし元の人格がそのまま肉体に帰還するなんてことは——ありえるはずがない。
何にせよ、あれはリラ・リンじゃない。
「まぁね、もう少し楽に死ぬつもりだったのだけど、やっぱ邪魔ねあのデカブツ」
「楽に…って最初から死ぬつもりだった…とでも?」
「仕方ないでしょ、呪い本体を表の人格に押し出すくらいしないとこの扉、入れてくれそうにもなかったし」
そう言うと同時に、親指で背後にある大きな扉をリラ・リンもどきの少女は指差した。
黒く、縦十メートルはくだらない、鉄と石でできた門———。
「……で、"あの子"は今どこなの」
私たちの知る、リラという少女、一体あの子は———。
「あの子…ね、———あなた達のリラ・リンは…門の中に消えたわ」
「消えた…!?」
「ええ、もっと正しく言えば…"死んだ"と言うべきね」
言動で分かった。
それは間違いなく、意図的に行われたものだった。
その、"リラ・リン"もどきによって。
「———お前…ッ!!」
恐怖より、怒りが勝る。
ナイフを投げ、銃に手をかける。
それは、自身と同等以上の敵に対してする動きだった。
それに比べてリラ・リンの肉体は完全に格下。
それが意味することは、"絶対なる勝利、殺害"。
しかしそれは、銃口を向けた瞬間に起こった。
「——あなた、撃てるの?」
一発目に投げたナイフ、それはリラ・リンの腹に刺さっていた。
しかし、その少女は怯むことなく私を見つめていた。
「撃ってみせなさい、ナレイ」
そう、ナイフを伝って流れる鮮血を見て思い知らされる。
私たち知るリラ・リン、その少女と全く同じ肉体なのだ。
それを攻撃する——、レーリ・クラークなら許すであろう、しかし彼女に対する裏切りにもなる。
「…降参よ、あなたの作戦勝ちね」
無理、それが私の答えだった。
「そ、ここまで考えて行動してなかったけどね、私」
「…」
「特に…ミーレ・イクツガが二人とも死んじゃうのは予想外だったわ」
ロボハンが戦っていたミーレ・イクツガ、あの男は死んだ——のか、"二人"ということはやはり二人ともいたと言うことに違いはない。
だとすればレーリは、もう一人のミーレ・イクツガを倒した———?
仮にも止国に関わる人間、勝てる可能性がある人間はバーナーとレーリの二人。
「あ、片方は知らないのか…あなた…勘違いしちゃダメよ、もう一人のミーレ・イクツガを殺したのはミライとサズファーだから」
「…は?ミライと…サズ…ファー?」
サズファー、あの男も蘇生された———?
「おい、ほんとかそれ」
暗闇の背後から、一人の足音と声が聞こえてきた。
「——サズファーが生きてる…だと?」
服と腕に血がついている、それはロボハンの血ではない。
あの時——私の背後に立っていたミーレ・イクツガは死んだのだと、告げる鮮血。
「ロボハン…」
「アイツが死ぬ瞬間を、俺は確かに——」
そう、ロボハンは正真正銘、和束優が殺した瞬間を目撃している。
「誰も、"生きていた"とは言っていないけど」
リラが、口を挟み答えを言う。
「…生き返ったとでも?」
「それは違う、確かに死んでるし、スミレトスがあなた達…レーリ・クラークとA-0401を殺すために用意した駒よ、あれは」
サブファー、あの男が協力的になるとも思えない。
だとすれば、あの男があの男の好きなように行動することを想定したうえで蘇生したとしか思えない。
つまり、ミーレ・イクツガ、目の前にいる少女、私たちの"敵"が真に狙うところは———。
「もしかして、あなた達の目的は…人間の全滅?」
ロボハンは察していたのだろう、黙って少女を見つめていた。
「ようやく理解したのね、ナレイ」
少女はそう言うと、私たちの方へとゆっくり歩み始めた。
「——new以外、全ての人間を消す…それが私たちの目的」
かつてあの男は、争いの根本の原因である人間という不純物をこの世から抹消しようとした。
だがあくまで、止国という国は"戦争を止める"という行いのみを目的とした国だ。
枠を越えすぎたあの男の行動は、悪となった。
全ての人間を殺すという目的において、最も強い駒、それがあの男なのだろう。
「あの男はあの男のやり方で人間を片っ端から殺し、私たちは私たちのやり方で人間を片っ端から消していく」
「お前たちのやり方ってのは、もう一人のミーレ・イクツガが大事にしてたあのバカデカい爆弾のことか?」
「そう、あの爆弾に必要だったのがあなた達がよく知る方の"リラ"」
爆弾の材料に必要なものは人であったと、確かにその少女は口にした。
「知ってる、"人間だけを殺す"兵器だろ」
「人間の残痕呪を糧に、人間だけを死滅させる兵器を作り上げる、その残痕呪の保管庫としてミーレは童楼咲葉の所有する理と世の門を利用した」
「理と世の門…?」
「今、私の後ろにあるこの無駄に大きな門のこと…死後の人間が行き着く先、言ってしまえば冥界」
「そして私の持つ呪いは自身で人格を構成してしまうほどだもの、材料としては最高の良品、早急に保管庫に入れる必要があったの」
一言一句が意味不明だった。
——呪いが材料?
少女の口から出る長ったらしい言葉には、嘘偽りない、本気で人類を殺そうとする声。
「——ここまで話したんだから、あなた達も何か行動を起こすべきじゃない?」
「…俺にお前を殺せと?」
「童楼咲葉を殺し、人類滅亡を夢見る極悪人リラ、あなたに私を殺さない理由なんてないでしょ?」
…
「サズファー…」
目の前に立っている男、敵にして初めて感じる威圧感。
「バーナー、退くなら退け」
和束と機械坊主、あの二人はどうやってこの
いや、これほどの威圧感を前に兵士とはいえ子供二人が動けたことが不思議なほど。
「ダメだ、俺が退いてもお前はレーリを殺すだろ」
「馬鹿馬鹿しいなバーナー、お前もあの女も、止国の人間には到底向かん」
「そんなこと、俺が一番わかってる…お前まだ全人類の虐殺なんて考えてるのか」
そう、あの日止国を壊滅しようとしたサズファーという男はやろうとしていたのは、全人類の虐殺。
「この世から戦争をなくしたいのなら、根本の人間が消えればいいだけだろう…」
「否定はせん、だが止国の目的にはそぐわない、お前も止国の人間にはなれねぇよ」
「だから壊そうとした、俺の行動に間違いはあるか———」
何の間違いもない、それが一世界より強い男が放った言葉なら尚更だ。
共存なんて概念はその男の頭にはなくて、ただ孤独であり続けた。
いや、共存とは言えぬまでも、それに近い経験はその男の心には何も響かせなかったというだけ。
強すぎるが故の何にも侵されぬ自我。
「悪いが退かん、そういう立場なんでな」
「敗北が決まった勝負に出るか、———衰えたな、バーナー」
サズファーの構えから、攻撃に転じるまでに掛かった時間、それは光や音を凌駕したというレベルではない。
万物の中で最速であるはずの光が、二番手に回るという矛盾が生み出すスピード。
無論、視界に映るはずもなく——
「——ッ!」
一瞬で詰められた十メートルという距離で帯びた拳の威力は、熱すら帯びる。
両腕による完全なガード、その程度で威力が半減するはずもなく、激痛と腕の筋肉に刻まれた拳、そしてその威力に数十メートルの後退を強制される。
「化け物が」
「言っただろう、退くなら退けと」
ガードした部分の服が焼けたように破けている。
「別に、お前が時間に急ぐ必要もないだろ」
「時間が惜しいのはどちらも同じことだ——」
「…どういうことだ」
「——ミーレ・イクツガが二人とも死ねば発動するモノがある」
俺が対峙したミーレ・イクツガ、それが二人いたことを告げられる。
そしてその二人が、もしくはその内一人は確実に死んだことを告げられた。
「発動…?」
二人が死ねば、発動するモノがあるということ。
「"爆弾"だ」
「爆弾…だと?」
「
…
「人形…ですか」
「ええ、行き場に迷っていたところを私の生徒…ラウ・クラークが医療班の教育を受けるよう彼女を連れてきたのです」
「ラウ・クラーク…もしや、その人は」
「ええ、つい最近金階級に昇格なされたレーリ・クラークの母親です、病弱でしたが優秀でしたよ彼女は…」
それから私はリラ・リンのこと、ラウ・クラークのことを聞いた。
「ラウ・クラーク…彼女の死因は?」
「病弱な上に難産を強いられ、それ以降体は弱る一方でした、物心ついたばかりのレーリ・クラークが決して母親から離れなかったのもそれが理由でしょう…最期には突然死、老衰に近い形だったと医師からは聞きました」
「…老衰に近い形…ラウ・クラークは当時まだ二十代だったのでは…?」
「えぇ、若くしてまるで何かに病気ではない何かに侵されているようでした…」
「レーリ・クラークとはまるで真反対、彼女は若くして金階級になるほどの肉体と戦闘経験を持っています…不謹慎ですが…本当にラウ・クラークの娘なのでしょうか」
「確かに、身体能力というものの半分以上は遺伝に依存するという話をよく耳しますね、それを否定するような民族が私たちなのですが…レーリ・クラークも幼少期は人一倍肉体が弱かったのです」
「…確かに、Dの判定でしたね」
「しかし、A-0401も止国最強と言われたサズファー、彼らにも同じことは言えましょう」
「同じこと…?彼らも幼少期は肉体が弱かったと…?」
「サズファーは赤子の時、医師からは一週間と生きられないと言われていたのですよ」
「…ほんとですか?」
「A-0401も前線班に配属されるまでは弱く、そしてサズファーを除く二人には、母親が病弱であったという共通点もあります」
「先生は…その、金階級の方の資料を全てお読みになられているのですか…?」
コーヒーを飲み干し、本題に入ることにした。
「ラウ・クラークのこと、もう少し聞かせてもらえますか、先生」
◇
授業が終わって、生徒たちが教室から退出している中、一人だけ教卓に向かってくる子がいた。
「先生、戦争はどうしてなくならないの?」
子供ながらの単刀直入、この世のどの質問よりも難しいであろう。
「ラウちゃん、それは質問?」
ラウ・クラーク、最近医療班にやってきた少女だった。
「うん、先生に質問」
「分かった、先生の部屋においで」
「——先生、これは?」
机の上に置かれた付箋まみれの本に、少女は興味津々だった。
「図鑑って言ってね、世界のいろんなものが書いてあるの」
黄色の付箋が貼ってあるページを私が開けると、そこには"世界"があった。
人種、文化があった。
「世界には色んな種類の人がいるの、色んな国で、それぞれ歩んできた歴史も環境も違う、だから決して同じ考えなんてできないの」
「それでも、争いは誰もしたくないんじゃないの?」
「ええ、きっとみんなそう、戦いなんてしたくない…でもしようとする、正義という嘘を盾にしてね」
そう、正義、この国が建国された時もきっと人々を正義を謳ったのだろう。
正しい心を持って、正しい行いを成すこと。
その人々が成し得なかったことを、また別の、無関係の人々に押し付けた。
「人ってね…同じ国で育った人とだって完全に分かり合えないの、なのに他の国の人となんかもっと分かり合えるはずがないじゃない?」
少女は顎に手を当てて、じっと考えていた。
きっと、どんな偉い大人たちよりもまじめに。
「…先生、じゃあ…他の国の人たちとは、関わらない方がいいの…?」
「…ッ!」
物心がつき、勉学というものに触れ始めたばかりの子供の答え…ではなかった。
いや、知識がないからこそ出る答え、なのかもしれない。
「ラウちゃん、その答えは誰にも分からない…大人の私たちにだってね…でもラウちゃんみたいに考えて、自分の答えを言葉にできる子は…きっと世界のみんなを仲良しにできるわ」
そう言って、少女の頭を撫でた。
「私が…?」
「そう、あなたならきっと世界を争いのない世界にできる…!」
…
「ラウちゃん、久しぶり」
背丈が高くなり、すっかり大人の顔になったあの時の少女の姿がそこにはあった。
「先生、お久しぶりです」
「大変だったわね、紫階級なのに二年も紛争地帯に駆り出されるなんて」
ソウラカイ紛争、数年後教科書に載るほどその戦いは大ごとになった。
「ええ、とても」
原因がわからない、その紛争はその場で起こっているだけで、何故人々が争っているのかが完全に不明だったのだ。
「止国の兵士なんて、ほとんど怪我しないから暇してたんじゃないの?…」
「いえ、二年も掛かっているんです、怪我もしますし死人も出ます」
「死人…!?大丈夫だったの!?」
止国の人間が、他国の人間との紛争で死ぬ、それは十年に一度起きるか起きないかのレベルの出来事であり、私が教官になってから二回しか経験していない事だった。
「一人、亡くなった人がいました」
「…誰なの、私の生徒の誰か?」
「レイリ・カラソクル…この子の父親です」
そう言って、大人びたラウ・クラークは自分のお腹の上に手を置いた。
「———ラウちゃん…あなた!」
その時から、レーリ・クラークを、彼女をお腹の中に抱え、母親になっていた。
「…先生、この紛争の原因を突き止めるために彼は死にました」
「それで…わかったの?」
静かにラウ・クラークは首を振った。
「でも…私の憶測ですが、謎の宗教団体が最近目撃されています…それが原因の可能性があります」
「…話は後で聞くわ、ラウちゃん、早く休みなさい」
後にその宗教団体は行動を起こし、和束優、そしてレーリ・クラークが中心となり、無力化された。
…
「先生!この子、医療班にどうです?」
ラウ・クラークが突然、一人の少女を私のもとに連れてきた。
「…えっと?この子は?」
金髪で小さく、なんというか不思議な子だった。
「ほら、自己紹介して」
「リラ・リン」
「ラウちゃん…あなた…療養中でしょ?」
外見では分からない、しかしラウ・クラークの体は限界寸前だった。
その中で、勝手に外をほっつき歩き、選別まで見に行ってそこから一人の少女をスカウトしてきた。
「レーリが私の介護してくれてるんで、元気ですよ」
「あなたねぇ…レーリちゃん、訓練が近いんじゃない?」
「選別もDだったし、私と同じで身体が弱かったら怖いじゃないですか、少しくらい延期しても怒られませんよ」
「はぁ…それで?そのリラちゃんは?」
「可愛くないですか!?医療班にピッタリの顔してますよね!!」
その状況の中、表情一つ変えないリラ・リンも不思議だったが、それ以上に元気ぶっているラウ・クラークに腹が立った。
「分かったから、レーリちゃんを心配させちゃダメ、早く帰りなさい」
「えぇ〜」
その数日後、彼女は息を引き取った。
◇
「殺さないと、あなたが死ぬわよ、ナレイ、A-0401さん?」
リラ・リンの背後に人間ではない、まるで悪魔かのような白い巨体の何かが現れた。
「呪い…!?」
「使えるわよ、呪いの本体であるあの
「能力で繋がってるってこと…?」
ミライの体外へ放出された血は、すぐには消えず最悪敵体内の中でも存命できる、それだ。
ミライは体外の血と自身の肉体を呪いの能力そのもので繋がっていた。
「同様に呪いを持つあなた達は
その瞬間だった。
門が開き、視界は光に包まれた。
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