第15話 新入部員ゲットだぜ!

 俺は公園のベンチで皆川涼子みながわりょうこと並んで座り、さらに俺の左手を両手で包んで自分の胸に押しあえてている状態だ。

 俺はポニー皆川みながわが言った「学校で守って」のお願いを即答で頷きそうだったが思い留まる。

 そして俺は俺なりの保険が使えるかの確認に入る事にした。


 「皆川みながわさん、ちょっと待ってもらえないか?」


 俺はそう言いながらポニー皆川みながわが包んでいる俺に左手を自分の元へそっと引き戻した。

 その時ポニー皆川みながわの顔がなんで?と言う様な予定と違うと言う様な変な顔をしていた。

 俺はその後の言葉を発する事なく右手を素早くポニー皆川みながわの目の前に持って行く。


 そして俺の得意とする催眠術を発動させるために指を『パチン!』と鳴らす。

 その瞬間にポニー皆川みながわの目がトロンと少し眠たそうな目になる。

 俺はそれを見て催眠術に掛かった事を確認した。

 そして俺は確認の為に命令をする事にする。

 この小さな公園には現在俺達二人しかいない為、俺は少しだけ自分の欲望の命令を下す。


 「皆川みながわ、自分の胸を両手で下から持ち上げて寄せろ」


 あー!俺はとんでもない命令をしてしまった。

 もしコレが正気なら俺おわりだよね。

 そしてポニー皆川みながわは俺の命令通りに自分の手で胸を持ち上げた。


 うぉー!

 すっ凄い!ボリューム!

 とっとても触りたい!

 いやいやそんな事をしている場合じゃない。

 彼女は俺の催眠術に掛かる事がわかった。

 よし、これで一応保険は出来たと。

 俺はポニー皆川みながわの催眠術を解除する。


 「あっあれ?今私なんかしてた?」


 ポニー皆川みながわは少し不思議な顔をしていたが俺はその話をさえぎる様に話の話題を戻す。


 「いや、得にはなにもしてないよ。それでさっきの話だけど皆川みながわさんを守る代わりに俺のお願いを聞いてほしいんだ」


 俺がお願いと言う言葉を発するとポニー皆川みながわは自分に危険が音連れたかのように、自分の腕を自分の体に回して声を上げる。


 「もっもしかして私の体が目当てなの?もしそうだったらむっ無理だしお断りよ!」


 ポニー皆川みながわは少し強い口調で俺に言い放つ。


 「ちっ違うよ!そんな事お願いしないよ」


 俺は両手で手を振り違う事をアピールする。

 そして俺の思いを伝える。


 「実は俺が所属している学校の部活の超常現象部ちょうじょうげんしょうぶなんだけど、部員がいなくて廃部になりそうなんだ。それで皆川みながわさんを守る代わりに部活に入ってもらいたいんだ」


 俺はなかなかいい取引じゃないか?と思い提案した。


 「ちょっ超常現象部ちょうじょうげんしょうぶ?何その変な部活。なんで私が入らなくちゃいけないの?」


 ポニー皆川みながわは明らかな拒否反応を見せた。

 まあ当然と言えば当然だ。

 いくら自分を守るとは言え変な部活に勧誘されているのだそりゃ拒否もするよな。

 

 「あっ勘違いしないで欲しいんだけど活動とかはしなくてもいいんだ。ただ、部活に在籍している証明が欲しいんだ」


 そうあくまでも名前だけで廃部を回避できるならそれでいいと俺は考えている。

 俺の言葉にポニー皆川みながわは少し考える素振りをして返事をする。

 

 「本当に部活の在籍だけで私を守ってもらえるの?」


 ポニー皆川みながわは少し疑うような感じで俺に聞いてきた。


 「ああ、本当だ。それは約束するよ」


 俺とポニー皆川みながわはベンチで相手が本当かどうかお互いに見つめ合う。


 「わかったわ。それじゃあ契約は成立って事でいいわね」

 「ああ、こちらこそよろしくな」


 そしてなんだかんだあったが俺の初めての女子との食事デートが終了した。


 翌月曜日、俺はいつも通りに学校に行った。

 日中も得に変わる事はなく放課後の部活の時間を迎えた。

 俺が1組の教室から出ると廊下には2組であるあかねが少し不満げな顔をして立っていた。

 俺は直ぐにあかねの異変に気付いて声を掛けた。


 「どうかしたのか?」

 

 俺はあかねに問いかけるがあかねは少し俺を睨んでから口を開いた。


 「涼太りょうた話あるんだけど時間はある?」


 珍しい事もあるもんだ。

 あかねから話なんて初めて聞いた言葉だ。

 だけど今日に限っては時間はないんだよな。


 「その話は部活が終わってからでもいいか?少し急ぎの用があるから」

 「うっうん、それで構わないよ」

 「よし、それじゃあ今から俺に付き合ってくれ」


 俺はそれだけ言うと4組の教室へ向けて歩き出した。


 「ちょっちょっと何処いくのよ!部室は反対でしょ?」

 「あーごめん、今から新しい部員を迎えに行くんだ」


 俺の返事にあかねは頭の中でクエスチョンマークを浮かべている様だったが、俺は歩みを止める事なく4組みの教室へとやってきた。

 4組も既にホームルームが終了していて教室内には数名の生徒しか残っていなかった。

 俺は廊下から目的の人物がいるのを確認するとそいつの名前を呼んだ。


 「皆川みながわさーん」と。


 俺が声を上げると同時に4組の教室内にいる数名の生徒こちらに振り向く。

 誰が皆川みながわさんを呼んでいるのかと。

 振り向いた生徒達は俺が誰だかわからず少し不思議な顔をしていたが、当人のポニー皆川みながわはすっと席を立ってこちらに歩いてきた。


 「お待たせ、上杉うえすぎ君、行きましょうか」

 

 俺は頷き皆川涼子みながわりょうこあかねを引き連れて、超常現象部ちょうじょうげんしょうぶの部室へと歩くのだった。


 顔の冴えない男が美少女二人を連れて廊下を歩く姿は、後に噂好きの女子高生の格好の餌食となるのであった。 

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