第13話 それぞれの思いと思惑

 学校での俺の立ち場は得に変わりがなかった。

 あの日美少女、皆川涼子みながわりょうこに誘われ教室に帰って来てからの話だ。

 俺は波風立てないように学校生活を送った。

 そして土曜日、俺は地元の駅前にあるショッピングモールに来た。

 理由は明日この付近でポニー皆川みながわこと美少女皆川涼子みながわりょうこと食事をする服を買いに来たのだ。

 たかが食事で服を買うのか?と言われかけないが、俺にとっては初めての女の子と二人での食事だからだ。

 正直言えば、隣に住むあかねとは数回二人で食事をした事はある。

 いやいや、それをカウントしては駄目だろう。

 やっぱり待ち合わせて食事に行くと言う流れが重要なのだ。

 これを逃すと次にいつ女子と食事が出来るかわからないし気合の入れ処だ。

 予算は1万円。

 これでズボンと上着を買う予定だ。

 当然俺は服のセンスなんてないので結局マネキンが来ている服の色違いを購入した。

 もしもだがこのショッピングモールに来る可能性もあるかもしれないと思ったからだ。

 服を買った俺は行き揚々と自宅へ帰るのだった。


 ◇◆◇


 私の名前は皆川涼子みながわりょうこ


 北中学校を出てこの東高校に入学した。

 なんで地元の北高校ではなくこの東高校にしたかと言うと、北高校はこの東高校に比べて少しレベルが低い。

 そしてもう一つ西高校と言うのがあるんだけどそこの高校は、東高校よりレベルが上なので消去法で東高に進学した。

 表向きはそうなんだけど正直言えばそれだけじゃない。

 

 私は中学1年から3年の終わりまで付き合っていた彼氏がいた。

 名前はタクヤ。

 顔はイケメンで高身長そして喧嘩が強いんだけど頭の中身だけが残念な男。

 私がタクヤと付き合った理由は二つある。

 一つ目は見た目がいいからだ。

 そしてもう一つはイジメと言う名の暴力からの抑止力よくしりょくの為だ。


 私の年代は小学校の頃から少し荒れていて周りでもイジメが横行していた。

 私はなんとか小学校時代はイジメられずに済んだが、中学校は小学校の沿線上の為イジメられないと言う保証はない。

 そこで目を付けたのがタクヤだ。

 見た目が良くて喧嘩が強い男。

 タクヤが彼氏なら私に粉をかけて来る奴はいなんじゃないかと思い、私はタクヤに告白して付き合いだした。

 そして私の目論見もくろみは見事に的中し、中学校時代はのびのびと生活が出来た。

 だけど、タクヤは頭が良くない。

 タクヤは地元のレベルの低い北高ならなんとか入れると思うが、中間の東高に入れるだけの成績は残せていない。

 イジメだけを考えれば私も北高に行くのがベストなんだけど、将来を考えると正直タクヤでは不安が残る。

 私は決断した。

 北高ではなく東高に行こうと。


 そして私は中学卒業式の日にタクヤに別れを告げた。

 当然タクヤは別れたくないと言って来た。

 私は考えていた事をタクヤに告げる。

 私と離れていても浮気せずに私だけを思い続ける事が出来る?と。

 

 でも、バカタクヤは頑張ると答えた。

 普通は嘘でも出来ると言うが流石タクヤと言った所だ。

 そして私はタクヤと別れた。


 でも最後にタクヤは高校を出た後お互いにパートナーがいなかったら、また付き合おうと別れの言葉を言って来た。タクヤらしいけど私は悪い気はしなかった。


 そして春、私は東高の門をくぐったんだけど私の予想外の事が起きた。

 イジメはなかったんだけど入学してほぼ毎日に近いほど男から告白を受けた。

 私は告白を受けながら考えていた。

 そうだ中学時代はタクヤと言うガードがいたから誰も声を掛けてこなかったんだと言う事に。

 だけど高校でいきなり彼氏を作ろうと私は思っていない。

 どうせ作るなら見定めていい男を捕まえたいと考えているからだ。


 だけど告白だけじゃなくて詰め寄る男が出て来た。

 私を放課後のあまり人の来ない校舎の裏へ呼び出した男、河合かわい

 私は直ぐに告白を断った。

 するとあいつは「なんで俺の誘いを断るんだよ。皆川みながわさんも彼氏いないならいいじゃないか!」

 私はふざけるんじゃねぇーよと思ったけど強い言い方で断ると何をされるかわからない。

 だから私は「彼氏がいないからと言ってなんであなたと遊ばなければいけないんですか?」

 と優しい言葉を返した。

 すると見る見る内に河合かわいの顔色が変わって行くのが分かった。

 私はヤバイ!と思った時、あいつが現れた。


 名前は上杉涼太うえすぎりょうた

 顔は35点、身長はまあ普通、体形も普通だけど喧嘩だけは100点の男。


 あいつはあっという間に河合かわいを倒して見せた。

 私はその瞬間にコイツは使える!と直感した。

 私はとりあえず上杉涼太うえすぎりょうたと名前とクラスの交換をしその場を後にした。

 作戦を立てる為に。

 

 私は上杉涼太うえすぎりょうたをこの高校でのたてに使おうと考えた。

 作戦はお礼と言う事であいつを食事に誘い私のとりこにしようと。

 そして私は作戦通りにあいつを教室から連れ出し食事に誘う事に成功した。


 私はあいつと話ながらどうゆう性格なのかとかの分析を行った。

 上杉涼太うえすぎりょうたは予想通り女慣れしていチェリーどうてい君と言う事が分かった。

 こうゆう奴の扱いはとても簡単だ。

 少しのボディータッチをして気があるんじゃないかと思わせとりこにするだけ。

 ああ、私の高校生活もこれで安泰あんたいな未来が見える様だ。

 食事に行く日は日曜日。

 ふふふ、楽しみでしょうない。

 私は着ていく服を考えるのだった。


 ◇◆◇


 私の名前は進藤茜しんどうあかね

 小学校6年生になる時に涼太りょうたの家の隣に引っ越してきた。

 最初は隣が男!?と思っていたけど私の予想と違い涼太りょうたはとても親切な優しい男の子だった。

 前の小学校での男の子はガサツで不潔と言うのが私の考えだった。

 涼太りょうたはいつも洗剤の匂いがする服を着て私に気を使ってくれる子だった。

 ただ、涼太りょうたは何かあるとUFOがとかテレキネシスがとか意味のわからない事を口走る事が多いのがたまに傷だ。

 でも、そんな涼太りょうたを私は気に入っていた。

 そんな中私の誕生日が近づいた時父親から何が欲しいかとの話があった。

 そこで私は考えた。

 今特に欲しい物は得にない。

 それなら…「私、世界の不思議と言う本が欲しい」。

 これがあれば涼太りょうたともっと仲良くなれるんじゃないかと。

 そして予想通りに私は涼太りょうたと仲良くなれた。


 でも、私が世界の不思議という本を見せてから涼太りょうたはたまに変な動作をしてくる。

 私の目の前に指を置いてパチン!と鳴らしてくる。

 最初はなんの事かよくわからなかったけど、どうも涼太りょうたは私に何かしようとしている事が分かった。

 いろいろ涼太りょうたと話していて、たぶんだけど私に催眠術を掛けようとしている事がわかった。

 私は昔からそうゆう事は信じていなくて、どうも催眠術とかは掛からない体質らしい。

 だけど、涼太りょうたに「催眠術なんて掛からないよ」なんて言ったら、絶対に涼太りょうた落ち込んで私と顔も合わせてくれなくなりそうだから、私は大人対応で催眠術に掛かったフリをしてあげることにした。

 

 私と涼太りょうたはどんどん大きくなりそして偶然からか同じ東高に行く事になった。

 私は小6から涼太りょうたを見て来たけど、どんどん涼太りょうたに引かれる自分がいた。

 私は中学時代に思い切って涼太りょうたに告白をしようと思ったけど思いとどまった。

 だってフラれたらもう立ち直れないと思ったから。

 でも、告白なんてしなくて良かったと思った。 

 この前、高校の帰りに涼太りょうたは又催眠術のまね事をして私に命令してきた。


 「あかね、俺と手を繋いで家まで帰るぞ」

 私はその言葉を聞いた瞬間に顔が真っ赤になるのが分かった。

 たぶんだけど涼太りょうたはなんだかんだで私の事を気に入ってくれているんだと思う。

 そして恥ずかしいから催眠術のまね事をして私と手を繋ぎたいんだなと。

 かわいい涼太りょうた

 もう少しこのむずがゆい恋を楽しむのもいいかなと思う。


 私は落ち着いて右手でそっと涼太りょうたの左手を掴んだ。

 涼太りょうたの手はやっぱり男の子だなと思うほど大きかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る