第2話「不機嫌な彼女」

あれから、いま僕が何処にいるか分かるかい?

彼女はいつも僕の斜め上を行くのさ。

今みたいにね。

玄関前で立たされていた俺は何が起こったのか状況を整理していた。

あの…何これ?

なんで僕は彼女の家にお邪魔しているんだ?

全くもって話の展開が見えてこない。

えっーと…数分前の出来事を遡ってみよう。

まず、俺が勝ったと思っていたあの回には続きがある。

実はその後に彼女が

「私がこんなので負けるとでも思った?」

とにやりとした顔をしていて完全に油断していた事を思い知った。

「貴方は昔からよく顔に出る人なのよ」

そう丁寧に答えた彼女は俺のミスを子供が仕出かした時の様ににまにまと笑って嘲笑いを浮かべていた。

それに対して俺は「そ、そうか…」と、

適当に相槌を打つことしかできなくなっていた。

そんな様子を見て隙を着いた彼女は

「じゃ、私の家に来なさい」

という謎発言をして適当に相槌を打っていた俺はまんまと彼女の策に引っかかってしまったという訳だ。

なんとも惨めだろう?

さて、そろそろ彼女が帰ってくる頃だ。

「誰と話しているの?」

そう言って眉間に皺を寄せた彼女はもちろんの如く拗ねている。

「いや、誰も?」

「あっそ」

「ねぇ、2階に上がって取ってきて欲しいものがあるの」

「は?嫌だよ。自分で取ってこい」

「なに?私は忙しいから手伝ってって言ってるんだけど?」

又もや、皺を寄せて睨まれる。

「わ、分かったよ」

機嫌を崩さないように急いで2階に上がって言った。

彼女の家は一軒家で両親と妹が1人住んでいるらしい。

見かけた事は無いが…。

そう考えてると上から人影のようなものが飛び出してきた。

「あ、痛てぇ…」

頭に衝撃がはしってジンジンと響く。

同じく前方で頭を抱える人影が見えた。

すぐさま「大丈夫ですか!?」と言ったところ、相手と被り…。

「「大丈夫ですか!?」」

という展開になってしまった。

俺より少しだけ小柄な女の子が心配そうな顔つきで俺を見つめている。

「えっと…すみませんが誰ですか?」

この子は多分あいつの妹かな。

「で、ですよねぇ!あ、俺は君の姉の幼なじみだよ?」

俺は多分妹である女の子に答える。

「あ、えっと奏汰さんですか?」

「?」

あれ?なんでこの子は俺の名前を知っているんだ?初対面だと思うんだが…。

「あ、あの、お姉ちゃんがいつも奏汰さんのお話をするので知ってました」

今俺の心の中を読み取ってないか?って多分俺が不審な表情をしていたんだろうな笑

「な、なるほど…ちなみにお姉ちゃんはなんて言ってたんだ?」

そう聞くと、妹さんは戸惑った表情を浮かべながら話してくれた。


「今日も幼なじみの奏汰に好かれすぎて困っているわ」だとさ。


はぁぁ?好いているのはお前の方だろう?

俺に幼い頃からへばりついて「大人になっても奏汰の事、好きだからね」って言ってたじゃねぇか。いつ俺がお前に好意を見せたんだ?

そんな反論が雪崩のように出てきたがそれを言ったところでどうにもならないので呑み込んでおくことにした。

「そ、そうか…笑」

俺が苦笑いをすると、

「それでは、私はこの辺で、ゆっくりして行ってくださいね」

と微笑んで頭を下げ1階へと降りていった。

俺はそんな様子を見届けた後に白雪のいっていた取ってきて欲しいものを探しに奥へと入って行くのだった。

ーENDー

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