第9話 次こそゴブリンの巣を壊滅させよ
パーティは解消した。
無理だあのブラコン、話も聞かない。
復活した後もねちっこく追い掛けて兄の素晴らしさを説いてきたので、適当に改心した演技をしたら嬉しそうに帰っていきやがった。
だが、一人では心許ないので、ドワーフ剣士のウッデモ、エルフ弓使いのソレイカと行くことになった。
平原を道なりに進み、大樹が見えたらそこを右に曲がって、山の方角へと進んでいくと、そこにゴブリンの巣が見える。
しかしここで一つ、重大な問題が発覚した。
「儂はエルフが嫌いだが、ゴブリンはもっと嫌いだからな。そこのもやしよりも期待して良いぞ」
「路傍の石ころが何か喚いていますが、私はゴブリンと同等のドワーフ達よりも戦果を挙げられますので」
「何だとこのもやし野郎!!」
「口の悪い石ころですね、粉々に砕いてやりましょうか?」
エルフとドワーフはとても仲が宜しくなかった。
じゃあ何でこいつらは一緒にパーティ組んでたんだよ。
「取り敢えずケンカしないで、ゴブリン退治に集中しようぜ」
「儂らはケンカなんてしていないぞ?このもやしが突っ掛かってくるだけだ」
「貴方の獣並みの短気さが原因でしょうに……ああ、これでは獣に失礼でしたね」
「一言多いんだよこのもやし野郎!!」
「ああまた、やはり学習のない種族はこれだから……」
「黙れこのハイエルフの劣化版がよ!!」
「あ?やります?」
ああもう、やだこのパーティ。
俺はこの戦いが終わったら、勝ち負けに関係なく解散して別のパーティを募集する事にしよう。
だが、この状況は使えないでもない。
「じゃあ先にゴブリンの巣壊した方が強いって事にしたらどうだ?」
「それは流石に儂らを良いように使いすぎじゃないか?」
「そもそもゴブリンの巣一つを潰した所で強いという証明にはなりませんしね」
変に視野が広くかったのが、何か分からないが取り敢えずイラっとしたのだった。
そうしてゴブリンの巣内部に入ると、二人はあり得ない程の連携を発揮した。
まずエルフの弓矢が暗闇でも必中し、その声がした方向にドワーフが斬撃を振るい、どんどんとゴブリンを倒して行っていた。
とても手順も行動も手際良く速いし、とても強かった。
というか俺が出る幕がなかった。
悲しい気持ちになった。
帰ってくると二人はまたケンカをし始めたが、俺の中ではそんな事を気にする余裕もなく。
こういった才能を持った人間と一緒になると、理解が追い付き描写をする前に戦いが終わってしまうから、嫌なのだ。
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