第5話 もう一度ダイラットを駆除しよう
今、俺の目の前で、言ってしまえば幼女が正座をしていて、その横でナーナがしゃがみこんで慰めている。
「すみません私、虫苦手で……」
「仕方ない仕方ない、得手不得手は誰にでもあるから」
この子はガルフ、騎士見習いで大きな身体に変化できる、ハーフオーガの娘である。
俺達に会って行動していた姿は実は仮の姿らしく、本来はちんまりとした幼女騎士だったようだ。
ちなみに虫以外には滅法強いらしく、受付嬢にも『貴方達の様な初心者でも、ガルフさんがいらっしゃるなら安心ですね!』と笑顔で言われていた。
全然安心じゃないんだがそれは。
ガルフが極度の虫嫌いという訳で、少々痛い出費だったが強力な虫除け線香を買ったので、一応は問題ないだろう。
という訳で、字数も勿体無いので、とっとと潜っていく事にする。
ちなみにガルフの身体は最初に会った頃に戻っている。
「よし、私が殿を務めようじゃねぇか!!」
「ん、虫には気を付けて」
「あんまり取り乱さないでくれよ、字数が足りなくなるから」
「はっはっは!私は同じ
俺は言いそうになった(絶対踏みそうなんだが)という言葉を飲み込み、二人を後ろに奥へと進んでいった。
「ちゅうぅぅ」
低い呻き声のような鳴き声、きりきりと鳴る歯軋り、そしてランタンの光が反射し、黒い双眸が鋭く照らされる。
この巨体、間違いなくダイラットだ。
身体を揺らしながら、のっそりとこちらに駆けるダイラット。
そう、ダイラットはその巨躯を手に入れた代償として、とても足が遅い。
という訳で、頭部と腹部を一突きし、その場を後にした。
「ぢゅ、ぅぅ……」
そのまま力尽き行くダイラットを背に、残りの四匹も同じように倒していく。
「ちゅうぅ」
「ちうちうぅぅ」
二匹同時にやってくるが、こちらから走って行き右側のダイラットの頭部と腹部を即座に短剣で刺し、左側のダイラットは裏から回り、腹部をかっ捌き倒した。
あと二匹、といった所で、前後からダイラットがやって来た。
「そっちは任せられるか、ガルフ!」
「あぁ、ぶっ飛ばすのは得意だ、任せなッ!!」
俺は走ってダイラットの所まで向かい、腹部を掴み、急ぎ脳天を短剣で貫く。
ガルフを見やると、交戦が始まっていた。
「ちゅうぅぅ」
「私の名はガルフ・テスラート・グリテ・ティア・フルセイス!聖グリテ・ティア教会より認められし、聖騎士部隊陸上師団隊四番隊隊員でありグリティア様の印章を賜りし騎士!!グリティア様の名にお
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