転生してまっかー

柊ハク

第1話 転生前説明は甘え

ーーバン


衝撃に飛び起きた


何が起きた!?


キョロキョロ、するまでもなく、目の前に女


「ふーん」


ただの女じゃない。なんかめっちゃ美人だ。好みじゃないけど。この世に美人は多くいるが、例えるならこれは下腹部にこないタイプの美人だ。綺麗すぎて現実味がない。


女はパリパリとポテトチップスを食べている。小さな口で一欠片を少しずつ。お陰で周囲には細かいカスが飛んでいる。美人なのに清潔感はないのか


「とりあえず」


ふっと息を吐くと女はチュパチュパと指を舐め取り、俺から見て右を指差す


「死刑」


宣告と同時に指さす方向へぶっ飛ぶ。物理現象どうのじゃない。見えない何かに思いっきりぶっ飛ばされた


先程までなにもなかったはずの空間に地獄の門もかくやと言った扉が現れ、通過しーー


バタン


暗闇が訪れた






「って、ちょっとまてー!!!」


扉を強引に開けて元の空間に戻ろうとする。変わらず強烈な扉の中へ押し込もうとする力が働いているが気合で押し戻る。


女はキョトンとした様子でこちらを見ていた


「あらま」


「あらまじゃねぇ!なんだ突然現れて死刑ってなんなんだちゃんと説明しろー!」


「あなたは死にました」


「ええはい覚えてますとも!というかさっき思い出したわ!トラックに轢かれましたとも!じゃあなんでまた死刑になっちゃうわけ!?」


「…気分?」


「おまえの気分で死刑にするんじゃなーい!」


ぐぬぬと身を乗り出す俺に、不意に女が眉を顰めながら近づいてきた。



「あのさ、こっちも忙しいわけ。いい加減鬱陶しいわ」


「は?」


明らかに敵意のある眼光だった


「毎日あんたみたいのを何千人捌かなきゃなんないと思ってるわけ?本来ならあんたの方からこうべを垂れて土下座して平伏して仕事増やしてごめんなさい申し訳ありませんが状況説明お願いしますくらい言わなきゃいけないところでしょ!?」


深呼吸を挟んでさらに続ける


「あんたみたいななんの取り柄もないやる気もない現世で大した業績も残してない最底辺のクズにどうして死後まであれこれサービスしてやんなきゃなんないわけ!?死後よ、死後!生前は人権あったかも知んないけど今のあんたには無い!わかったらさっさとこれから生まれる者達の栄養になんなさい!」


私は忙しいの、と繰り返し扉にかける手を足蹴にしてくる


「なに!?俺消されるの!?転生とかしないの!?」


「アニメの見過ぎよおバカ!そういうのは前途有望な魂の役目であんたみたいな落ちこぼれのゴミに用はないの!わかったらさっさと消えて!もう3人分タイムロスしてるんだから!さっさと消えて!」


ガシガシと蹴られるが死後のおかげかさして痛くない。まさか加減されてるわけもないので魂の状態?では痛覚が鈍化しているのだろう。しかし徐々に指は離れつつあり、扉の向こうは引かれる力は増していく。ええい、こうなったら…


「死なば諸共じゃーい!!」


ガシっと。女の足を掴んだ


「ひぇっ?」


直後ものすごい力で扉の中へと引き込まれる


「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


こうして俺と名も知れぬ女は一緒に吸い込まれていった。パンツの色は水色だった

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転生してまっかー 柊ハク @Yuukiyukiyuki892

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