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「いいの?」
「いいよ。そっちがずる休みしたんだから。俺もずる休みだ」
日が暮れる。店が、閉まった。たぶん、初めての閉店。
「ねえ。話をしようよ」
「何の話だよ」
「死んだあとのこと、とか?」
「俺も連れていってくれよ」
「だめだよ。わたしの死は、わたしだけのものだから」
「それなら、それでいい。そっちが死ぬのなら、俺もそれでかまわない」
それっきり、会話は途切れた。
日が沈んでいく。
このまま。手を握ったまま。夜通し、ふたりで。ベッドに座ったまま。何もせず、お互いに寄りかかって。夜が過ぎる。時間が消えていく。それだけを感じて。人生の終わりを。最後の夕暮れと夜を、感じ続ける。
彼女が死ぬのなら。自分も死んでいい。彼女の死を、止める権利が、自分にはない。
もう、陽は昇らない、ふたり。
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