第9話

 イートインコーナーの混雑から、彼が避難させてくれた。ありがたい。初めてのずる休みで。浮き足立ってたかもしれない。

 お店の裏。


「う」


 衝撃的な光景だった。

 折りたたみ式の良さげなベッドがひとつ。綺麗にたたまれた服。そして、飲みかけの栄養ゼリー飲料。それだけ。


「しばらくここで」


 そう言い残すと、彼は店に戻っていった。


「うそでしょ」


 ベッドだけ。

 彼は。

 まさか。

 ここに住んでいるの。ベッドと服しかない。こんなところで。うそ。

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