05

「おじさん。何歳?」


「20」


「え?」


「おじさんでしょ?」


「え、ごめんなさい。ほんとに。まさか同い年だなんて」


「二十歳なんですか?」


「まだ19。もう少しで二十歳」


「見えないなあ」


「はあ?」


「人生一周目終わったみたいな眼、してますよ。疲れてますか?」


「ごめんまって」


「はい」


「敬語やめて?」


「はい?」


「同い年、というか同年代だから。わたしもあなたのことおじさんって言わないから」


「いいですよ俺はおじさんで」


「いやわたしがよくないから。それだけはだめ」


「そうですか。いちおうお客さまなので、敬語になると思いますが」


「そっか。敬語以外あんまりできないんだ?」


「そんな感じです」


「そっか。そっかそっか」


「そろそろよろしいですか?」


「よろしくないですけど。何もまだ喋ってない」


「どれだけ泣いてたか、ご存知ですか?」


 時計を指す。


「うわ」


「お帰りいただくとよろしいと思います」


「そうします。ではまた後日」


「また後日?」


「ええ。それではごきげんよう」

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