第4話 双子と今後と自己紹介と
神社へと足を踏み入れた後、元来た道は霧に包まれ消えてしまった。そして神社の離れへと案内され、座布団の上で玄米茶をすすりながら話を始めた
案内してくれた子達は非常に可愛らしい子ではある。狐の耳としっぽが生えているのがとても奇妙だが、愛嬌はあるし元気だ。
「これは狐に化かされているって奴なのかな?」
「「ハズレーーーーー!」」
「あたしは
「うちは常盤コムギ、双子の妹にしてご先祖の妖狐の先祖返り。金色の瞳と小麦色の髪がチャームポイントの16歳の人間なのね。古文と英語が得意なら教えて!」
「「イエーーーイ!」」
ハイタッチが様になっているなぁ。それに自己紹介の流れができたノッておこう
「私は
「いや、君は今人間じゃなくて狐憑きだからね。俺は
「ぼくは
みんな名乗り終えたかなと思ったら私に付いた狐の面がカタカタと口を開いた
「名は
喋れるんだ。仮面も動くんだ。なんだかすごい体になったものだ
「とりあえず俺は食事の準備しておくから、積もっているだろう疑問をまとめておいてくれ。一気に飲み込むには大変な一日だっただろうし」
そういってHは庭に置かれているサラマンドラの死体へ向かう。今晩はアレ食べるんだ。小説などではドラゴンを食べるという話は聞くが、元になったオオサンショウウオって食べられるのかな? ふと、Kの方を見ると目が蘭々と輝いている。なるほど美味い物の部類なんだな。
「あれ鱗が固過ぎて包丁通らないな。どうさばいたものか?」
ぶん殴った衝撃で倒したからか切り傷がなく包丁を通す隙間が見当たらず四苦八苦している様子。
「ごめん、アレ気になるから疑問点の整理は任せる」
「うちも手伝います。あの様子じゃ晩ご飯が朝ご飯になるわ」
Kとコムギさんは次いでサラマンドラ解体に向かった
「狐火食べていたし、火傷には気をつけてね」
「あたし食材さばく段階で火傷に気を付けてって聞くの初めてだわ」
玄米茶をすすりながらシロさんとまったりと時間を過ごした。なぜだろうか、とても落ち着く。さっきまでのイエーイな感じがない。
「太宰さんはまだ状況説明が来てないから気持ちの整理ついてなくてとりあえず時間がいる感じ?」
「いや別に。それよりもNとかで呼んで。苗字嫌いんだんだよ、よく人間失格とかいじられてさ」
「なるほどごめん、じゃあNさん。ちょっと聞きたいんだけどさ、Nさんは別に今まで別にアレみたいな怪異ともあたしらみたいなご先祖の因縁とかと無縁だったんでしょ? なんでそんなに平然としていられるの?」
「騒いで何か得られるものもなさそうだからかな。後は、あんなのボコボコに殴り倒したのに今更ビビっても仕方ないでしょ」
サラマンドラ解体はなにやらHさんが我流精霊術とやらを使って何かをしてコムギさんとKが協力プレイで全体重をかけて皮を剥いでいる。赤身なんだな~頑張っているな~。
「ずいぶんと達観してるね。当事者のあたしはずっと悩んでばかりなのに」
「ふむ、元気ないね。さっきまでのイエーイはどうしたの? 相談のろうか?」
「ありゃりゃ、あたしが悩み聞き出そうと残ったのに逆の立場になっちゃった。でも嬉しいから後で相談するよ。さっきまでのイエーイはなんというか巻き込まれちゃった二人に元気を少しでも上げられないかなってコムギと考えたんだ。必要なかったみたいだけど」
シロさんの耳としっぽがぺたんとしてしまった。
「そ、そんなことないよ……うん」
顔にうるさくて面倒だったとか出ていないか心配だ。私は気遣いでも嘘は苦手だ
「うそつき」
べーってしてきた。完全に顔に出ていたか。とは言え小さな子供みたいな反応だもんでつい口元が緩んでしまう
「フフッ。アハハハ、可愛い顔が台無しですよ。もったいない」
「な~に笑ってんですかも~……プッ、アハハハ」
つられて笑いだしてしまったようで。この一室は笑いに包まれた。そこへ
「このサラマンドラ火に強すぎていくら頑張っても焼けないから刺身にした。毒見もしたし嚙み切るのは普通の肉同様できたから大丈夫だと思う」
「すっごく美味いぜ、サラマンドラの刺身。ご飯のお供はこの家の梅干しに任せてすぐ食べようぜ」
「うちは刺身、梅干しとポン酢で食べますけど醤油とかお味噌欲しい方おります?」
みんなが帰ってきた。なんというか色々あったけど今後もこんな風に笑えたら御の字だな。
神託の日まであと107日
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