スノーホワイトの独白(2020.09.06)

「スノーホワイト」それは貴方がくれた名前。「スノーホワイト」それは私の三つ目の名前。


ずっとずっと幼い頃、私の一番古い記憶。

もう名前も顔も思い出せないあの人は私に「ホワイト」という名前をくれた。

あの人は言ってた

「君はなんにだってなれる。混じりっけの無い白だ」

と。

まだ何も知らぬ私はただ頷いていた。


それからあの人は急に姿を消して、私はまた一人雪原に取り残された。

もう一人でも歩くことが出来た私はただただ彷徨っていて、その人に出会う。

その人は私の名前を聞いたけれど私は答えなかった。泥にまみれ汚れた姿で「白」を名乗るのが恥ずかしくて。

そんな私の気持ちに気付いていたかは分からないけれどその人は別の名前をくれた。

「ポラリス」、意味は北極星。どうしてそんな名前にしたのか、その人は最後まで教えてくれなかった。ただ、その人が残した手紙に「君は僕の一番星だ」とだけ書かれていた。


あの人ともその人とも、過ごした時間はとても楽しく尊いものだったけれど、なぜかな、まっさらになりたくて私は一度名前を捨てた。


そして貴方がくれた名前「スノーホワイト」。

「白く降り積もる雪。何色にもなれるけど何色にもならない」

そんな言葉が私の胸には刺さった。

貴方と出会って初めて変われた気がして、こうやって昔話なんかをしてしまうの。

今までも、これからも、愛し慈しんで欲しいから私は名乗る。私は「スノーホワイト・ポラリス・ホワイト」

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