タバコ
「……あれ?」
目覚めると隣にあるはずの温もりが消えていた。
開かない目をこすりきょろきょろと探すと
ベランダで動くシルエット。
「…ハックション!」
ベッドから出ると意外と寒くてくしゃみが出る。
「あ、起きたの?まだ6時だよ」
口から白い煙を出しながらベランダから顔が覗く。
「…うん、ねむいー」
と言いながらつっかけを履いてベランダに出る。
「じゃあもうちょい寝てな。また起こすよ」
優しい声とともに片手で頭をぽんぽんとされる。
「いや、さむいの」
後ろから背中に飛びつくとじわりと感じる温もり。
あったかい……これがなきゃ眠れない。
「ちょっ、火ぃ危ないから」
また口を開くたび、ぷかぷか白い煙が吐き出る。
「ここでじっとしてるから、だいじょうぶー」
と言うとクスッと笑ってまた煙を吐き出す。
しばらくしてずっと右手にあったやつが短くなって
銀の器にグシュッと押し付ける。
「おまたせ、中入ろ」
「あーねむいー、あるけなーい」
なんて言ってみるとまたクスッと笑われて
ひょいとからだが持ち上がる感覚がした。
ぎゅっと首に手を回して密着する。
あー、すっごくあったかい。
「起きる?二度寝する?」
「……ちゅーする」
「ダメ、タバコくさいよ」
「…いいのー」
「はいはい、また後でね」
「…ケチ」
と呟いたのは無視されて、
頭を撫でられているとまた睡魔がやってきた。
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