ツンツンデレの彼女


俺の彼女は基本ツンツンだ。




「ねぇ、さっきからスマホばっかりー」


「…んー」



肩をこづいてもじっと見つめてみても反応なし。


ソファーに座ってずっとスマホと睨めっこ。



こちらも負けじとほっぺをちょんちょんしていると最終的にぷいっと顔をそらされた。



「…なぁんでよー」


とか言いながらいつものことなんだけど。




どうしようかなーと考えていると、

さっきスーパーに行ったことを思い出す。


…そうだ!



「ねぇ、アイス食べる?」


「…ん」



うーん。


返事はしてくれたけど

相変わらずスマホを見つめたまま。




ちゃんと袋を取ってバニラバーを手渡すと

スーッと伸びてくる手。


「…ありがと」


お礼は言ってくれるけどこっちは向いてくれない。



わざとらしくくっついて隣に座ってみる。


…無反応。




「ねーえ」


「…んー?」


「アイスおいしいね」


「ん」




…あ、ライン開いたぞ。

このまま友達とやりとりし始めたら終わりだ。


これは、最終手段の出動か。



「ねえ!」


「……なに」


さすがにちらりとこっちを見てくれる。



そしてまた画面に注意を戻す前に、




…チュ


柔らかい唇に触れる。


「…!?」



「フフッ」


「………どしたの」


思ったより素っ気ない。


が、真っ黒になった画面をじっと見つめる顔は

心なしか赤く染まっている。




「顔、赤いね」



「……うるさい」




「…ねえ、こっち見てよ」


と言ってみると

一応控えめにこっちを見る顔はまだ赤い。


 

 

ようやくスマホを置いてくれたので

横からふわりと抱きしめて肩に頭をのせる。




「…暑い」



とか言うから


ちょっと悲しくなって離れようとすると、




「……まぁ、別にいいけど」



なんて小さい声で呟いて


遠慮気味に背中に手を回してくれた。




 …ようやくのデレを勝ちとった。





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