(二)-5

 そんな古淵警部の脇を、背の低い白髪交じりの男性が出てきた。この人は真紀と古淵警部と同じ警視庁管内の西高井戸警察署の鑑識係をしている橋本という人だった。真紀は刑事課におり、よくお世話になっていると、ときどき話してくれた人だった。

 古淵警部が「どうだった」と橋本さんに尋ねると、橋本さんは黙って首を振った。

 何が「どうだった」のかは概ね想像がついた。お色直しで着替えに戻ってきた新郎の控え室が、爆風で吹き飛んだのだ。もちろんその中にいたのは新郎だったはずだ。橋本さんが首を振ったということは、新郎は今の爆発で亡くなったのだろう。


(続く)

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