10 .私は洞窟で、なにかに出会う

「ったく、なんで私が……」


 私は守ってあげたい女子ナンバーワンのアイドル最上まこだぞ?

 逆だろ、逆。

 守られてどうすんだよ。


「立石〜」


「コツ……コツ……」


 ん?

 なにか足音が聞こえる。


「コツ……コツ……」


 近づいてきてるな。

 まずいか?

 いや、ネコミミガールの言葉を思い出せ。


――――――――――――――――――――


「立石君はね、ここにいる怖〜いモンスターに捕まってるの」


「マジか!」


「早く助けに行ってあげて」


「よしきた!」


 待ってろよ!


「でも、普通に戦っても勝てないよ」


「なに!」


 強いのか!?


「そのモンスターは特殊なやつでね〜、弱点を突かないと倒せないの」


「弱点?」


 そんなものがあるのか。


「それはね、ハグだよ」


「ハグ!?」


 ハグってあれだよな!?

 あの……その……。


「モンスターに愛を教えてあげて」


「愛を……」


「それじゃあ、頑張ってね!」


 私は背中をポンと押されて、入っていく。


――――――――――――――――――――


「ハグか〜……」


 まだ立石にだって、何回かしかしてないのに。


「コツ……コツ……」


 聞こえる。

 すぐ近くまで来ている。


「……よし」


 この最上まこ様に愛してもらえるんだ、光栄に思えよ。


「おりゃー!!!」


 私は勢いよく飛び出して、抱きしめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る