7 .僕はオオカミに、覚悟を見せる。

「はぁはぁ……」


「ガウガウ!」


 もう無理……。

 全然当たんない。

 早すぎるって……。


「え~い!」


「ガフ!」


 ひらりと避けられる。


「どうしよう……」


 このままじゃ、まこさんを救えない。


「やれやれ、苦戦しているようだね、立石君」


 甲冑がしばらくぶりに口を開いた。

 馬鹿にしているのか?


「君に、勇者の心得を教えよう」


 勇者の心得?


「これがあれば、君もきっと強くなれるよ」


 そんなものが!


「まず一つ目、情熱!」


「情熱?」


「まこさんへの思いを叫んでみろ!」


「ええ!?」


 そんな、恥ずかしい。


「助けたいんだろ?」


「……助けたいです」


「倒したいだろ?」


「倒したいです」


「好きなんだろ?」


「好きです!」


 あ。

 乗せられてしまった。


「よ〜し、よく言った!」


 甲冑は嬉しそうだ。


「……それじゃあ、あとは台本通りに適当にやられてくれ」


 なにか小声で言ってるな。


「ガルル!」


 オオカミが甲冑に吠えた。


「ええ!? そんなのワイルドウルフの信念に反するから嫌だ!?」


 なんだ、仲間割れか?


「ワオーン!」


「うわ!」


 全速力で走ってきた。

 勝負を決める気だ。


「立石ー!! 勇気を出せ!!」


 そんな、無責任な!

 でも、そうだよな。


「よし! 来い!」


 しっかり相手を見定めて……。


「ここだー!」


 どうだ?

 ちょっと手応えがあった。


「ワオウ!」


 ん?

 今、オオカミが笑ったような。


「うん、合格みたいだな」

「おめでとう!」


 よかった。

 終わったみたいだ。


「それじゃあ、次は洞窟に行こう」


 洞窟?

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